トランプ政権維持のカギを握るエヌビディアの盛衰
半導体といえば、真っ先に出てくるのがエヌビディア(NVIDIA)だが、巷の称賛とは逆に、私自身は市場の評価ほどには高く買っておらず、どこか危うさを秘めた企業だと考えている。
社長兼CEOのジェンスン・フアンは“市場操作”がきわめて巧みな人物として知られる。これはかねてより私が指摘してきたことだが、同社の対シンガポールの売上が異様に大きい。昨年の決算によると、1年間で約3倍に膨れ上がった。知ってのとおり、シンガポールには半導体産業はないし、メインは金融センターである。
同社決算の地域別売上を見ると、シンガポールは第三位だった。これにはカラクリがあって、同社では“請求先”で分けているのだ。つまり、対シンガポールの売上は“エンドユーザー”がシンガポールではないことを意味する。
もうお分かりだろうが、エンドユーザーは中国なのだ。迂回して中国に流れていっている。これで米国の半導体規制から“逃れて”いるわけだ。
こうした手口はこのところ、大問題になりつつある。これが世界に晒されるときには、米国株バブルが吹っ飛んでしまう可能性すらあるだろう。つまり、時限爆弾さながらの様相となっている。これが半導体バブルの現実である。
もし民主党が共和党の第二次トランプ政権を潰すために、このエヌビディアによるイカサマ(?)を追求し、それがもし真実だったとしたら、半導体市場に冷水を浴びせることになり、とんでもない結果となるだろう。
エコノミスト
エミン・ユルマズ

