貧富の格差を象徴する非婚率の高さ
米国が抱える最大の問題は貧富の格差に他ならない。
同時に米国は世界一の金満国家でもある。GDP、一人当たりGDP、知的財産、資源、不動産価値等々、ほぼすべてのジャンルにおいて突出している。
これほど米国は豊かなのに、その富は異様なほど不均衡に分配されている。ここ30~40年間における米国の労働生産性は上昇し続けている反面、労働賃金はそれほど上がってはいない。
特に冷や飯を食わされているのがミドル階級で、年々歳々貧しくなる一方だ。日本もそうだが、ミドル階級の“可処分所得”が大きく減っている。
医療や住まいに代表されるエッセンシャル・サービスの費用が非常に高くなり、汲汲(きゅうきゅう)とした生活を強いられている。これらは富の分配が正しく行われていない証左といえよう。
コロナ禍を経て米国で加速しているのが非婚率の高さだ。統計によると、2021年時点で40歳まで一度も結婚したことがない人が25%もいる。さらにデートさえしたことのない人も増加の一途だという。当然ながら、彼らは子どもをつくらない。
米国の若い世代には自分の人生設計が描けない人が多い。日本の若い世代にも当てはまるのだが、米国のほうが極端な形で起きている気がしてならない。
米国人の20代で自分の人生設計について考えてみると、そのスタート時点で重荷になるのが学生ローンの返済であろう。このハードルがきわめて高く、厳しい。彼らは社会に出てから10年以上、その返済に追われ続けることになるからだ。
なおかつ米国の都市でそこそこの住宅を購入するとなると、日本同様、日本円で億単位の資金が必要となる。おいそれと買えるような金額ではない。そのうえで結婚をし、子どもを持ち、家庭を持つのはとても無理なので、最初からかつてのミドル階級が達成できた夢を諦めざるを得ない。
住宅のように大きな買い物をしない代わりに、米国の若者が食指を伸ばすのは、ちょっとした贅沢、もしくは投資である。昨今はロビンフッド(Robinhood)のようなスマホアプリから簡単に株式投資がしやすくなったことから、若い世代のユーザーは急速に増えている。