信託を活用して、息子に「議決権」、妻に「配当」を渡す方法

今回は、信託を活用して、息子に「議決権」、妻に「配当」を渡す方法を見ていきます。※本連載は、ウィル税理士法人編著(執筆:代表税理士の親泊伸明氏ほか)の書籍、『経営者と不動産オーナーのための信託・相続』(マスブレーン)の中から一部を抜粋し、「信託」を活用した具体的な事業承継対策をご紹介します。

専業主婦の妻には一定の収入源を残したいが・・・

<相談内容>

松浦さんは、上場会社の2代目代表取締役を務めています。取引先との関係だけでなく、主要株主としての立場もあることから、実務的に株式を動かすことは困難です。松浦さんの息子は、同じ上場会社に勤めていることから、上場株式は息子に譲ってあげたい、という気持ちはあるのですが、妻は主婦業に専念しており、収入がないことから、妻にも一定の収入を残してあげたいと考えています。

 

息子を受託者に、妻を受益者に設定する

<解決策>

上場株式であっても信託を設定することは可能です。上場株式を信託することで、受託者が所有者(名義人)となって議決権を行使し、受益者が配当金を受領することとなります。したがって、松浦さんが所有する株式について、松浦さんに相続が発生したことを条件に、受託者を息子、受益者を妻とする信託が発動する信託を設定しておきます。

 

もし、松浦さんに相続が発生すると、息子が議決権を行使し、妻が財産権を取得し、相続発生後の配当金を受領することができるようになります(毎年、収入を得ることが期待できます)。もし、妻が死亡した場合には、財産権を息子に移転させるとともに、信託を終了させる旨を定めておけば、妻が死亡後は、息子が全株式を取得することとなります。

 

【信託を活用する方法】

<税金の取扱い>

松浦さんの相続により、妻は財産権を取得することとなりますが、この財産権取得についても配偶者の税額軽減を適用することができます。

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    税理士、一級建築士、社会保険労務士、行政書士 

    日韓にまたがる相続につき実績があり、税理士を対象とした各種セミナーや、税理士会認定研修の講師も務める。

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    専用電話:050-5330-1313  日本語・韓国語対応可 担当:李(イ)/崔(チェ・日本名・戸野)

    1956年 大阪市生まれ
    1977年 菱村総合税務会計事務所 入所
    1986年 税理士登録
    2002年 税理士法人関西合同事務所(社名変更:ウィル税理士法人)設立 代表社員税理士
    2017年 税理士法人日本経営とウィル税理士法人が合併、日本経営ウィル税理士法人となる 代表社員税理士
    2020年 同法人代表社員退任、同法人顧問に就任
    2020年 税理士親泊伸明事務所 開業

    著者紹介

    連載「信託」で解決する会社の後継者問題

    本連載は、2016年10月27日刊行の書籍『経営者と不動産オーナーのための信託・相続』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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