「家族」の意見を重視して物事を決定するミャンマー人
ミャンマーの人々は、「温厚で勤勉」と評価されることが多く、家族をとても大切にします。また、熱心な仏教徒が国民の8割以上を占めます。親族間の冠婚葬祭などの行事を重んじる傾向があり、親族との付き合い方も必然的に濃厚です。
ミャンマーに限らずどの国でも「親を敬う」と思いますが、ミャンマー人は親への敬意を絶対とする一面が強く、親の意向が就職や結婚などに強く影響します。そのため、子どもは労働適齢期になると、親きょうだいのために率先して労働力となることを望みがちです。
しかし先ほども述べたとおり、ミャンマー人の親は日本人の親以上に、子どもへの助言に力を持っています。極端すぎると思うかもしれませんが、子どもがどんなに希望していた職種でも、親が否定すれば、希望職種を諦めて親の意見に従うケースは少なくありません。あらゆることの決定基準が「家族」の意見だという人は、珍しくないのです。
ですから、企業の採用面接で「親の意見を聞いてから入社できるかどうかお答えします」とミャンマー人求職者が言っても、何の不思議もありません。
ミャンマー人の社会人意識は「実年齢マイナス5歳」!?
成人している20代でも、個人の自立より家族として生きることを重視するミャンマー人はたくさんいます。ミャンマー人は子ども時代を学業のみに没頭して過ごすので、だいたい世間について理解して一人前になるのに時間がかかります。30代から40代くらいで一人前になったと言える人も、珍しくありません。
「ミャンマー人を採用するとき、20代の求職者は、日本人の社会人意識をマイナス5歳くらいにしたものだと思っているといい」
あるミャンマー人はこのように言います。25歳のミャンマー人求職者なら、日本でアルバイトや社会人生活をはじめたばかりの、20歳くらいの社会人意識だと考えるとよいと言うのです。
また、仕事に対して、日本人ほど肩肘張って真剣に捉える感覚もあまりありません。もちろん、やるべきことはきちんとするのですが、ささいなことまでこだわる性質はあまりありません。だから日本人が仕事をとても真剣に捉えていても、同じ仕事をしながら、「仕事」の捉え方が大分違うかもしれません。
ミャンマー人の「仕事が回っていればいいじゃないか」という、いい意味でのいい加減さすべてに日本人が付き合う必要はありませんが、日本の仕事の仕方のよい部分は真似してもらうようにしつつも、相手の仕事観を尊重するやり方も取り入れると、双方がうまく仕事をしていけると思います。