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長く働くことが日本人の美徳
働き方改革が一筋縄ではいかないのは、労働に対する日本人の価値観と切っても切り離せない事情があるからだと思っています。
日本はいわゆる農耕文化ですので、1カ所で毎年同じように繰り返し労働することが好まれ、いわば美徳でもある。会社勤めの場合も、定年まで、あるいは定年後も同じ場所でずっと反復して勤め上げることが尊敬の対象になります。
日本人の労働観は労働神事説に基づいているといわれます。労働によって神に仕えるという意味。これは、稲作に由来していて、神の委託を受けて稲を作り、収穫物を奉納するという古代から続く考え方です。
労働は神事なのですから、労働は善。逆に、休暇は罪とみなされる。
ほら、当たり前の休暇期間なのに、その後に会社に出てきたとき、「休んでいて、すみません」なんてあいさつすること、あるじゃないですか。これって、日本人の勤勉さの表れであり、日本人特有の同調圧力の産物でもある。
全員がずっと、いつまでも、同じ場所で働くことを善とする考えが定着してしまっているせいだと思います。
実は、労働神事説が信じられている日本では、ジョブ型雇用になっている分野でも、同じところで働くことを美徳とする風潮があります。
プロ野球選手の場合、褒められるのはたいてい、1球団で現役引退まで活躍した人。同じ球団一筋20年なんて素晴らしいですね、みたいな。
一方で、FA宣言した選手は金儲けをしているとか、いろんな球団を渡り歩いている選手は信用できないとか、何かと良くないように言われてしまう。プロ野球選手こそ、一般の人にはない技能を球団という企業に提供するため毎年契約更改していますから、ジョブ型雇用の典型のはずですが、同じところで働かないと褒める対象にならない。不思議な話です。
欧米の場合、狩猟文化といわれるわけですが、これは常に場所を変え、標的を変え、パートナーすら場所によって変えることに躊躇がない。
欧米の労働観は伝統的な宗教観にも影響されています。突き詰めて言うと「労働は罪」なんですね。
