関税発動前の駆け込み需要の反動により、4月の消費は減速
ミシガン大学が公表した2025年5月の消費者信頼感指数は50.8と、4月(52.2)、市場予想(53.4)をともに下回り、高インフレに見舞われた2022年6月以来の低水準となりました(図表1)。
内訳をみると、現況指数が4月の59.8から5月に57.6へ、期待指数が47.3から46.5へ揃って低下しました。トランプ政権の関税政策を巡る不確実性の高まりを反映して、消費者マインドの悪化に歯止めがかからない状況が続いています。
消費者信頼感指数を支持政党別にみると、民主党支持層は33.9(4月:34.4)と小幅な低下にとどまり、消費者マインドの悪化に歯止めがかかりつつあります(図表2)。
一方、共和党支持層は3月の87.4から4月に90.2へ上昇が続いていたものの、5月には84.2と低下に転じています。トランプ大統領の支持層でも消費者マインドが悪化している状況が見て取れます。
同時に公表された5-10年先の期待インフレ率は4.6%(4月:4.4%)へ一段と上昇しました(図表3)。
インフレ再燃を回避するためには、消費者の中長期のインフレ期待が安定的に維持されていることが重要です。もっとも、ミシガン大学調査におけるインフレ期待は高めに出やすい傾向があるため、FRBが重視するNY連銀の調査結果(6/9公表予定)においても、インフレ期待が上振れるか注目されます。
米商務省が公表した4月の小売売上高は前月比+0.1%と、市場予想(同0.0%)を上回りました。トランプ政権による関税発動前に駆け込み需要で急増した3月(前月比+1.7%)のあとにもかかわらず、4月もプラスを維持しており、駆け込み需要が一定程度発生した可能性があります。
小売売上高の内訳を見ると、外食(3月:前月比+3.0%→4月:同+1.2%)や建設資材(3月:前月比+2.9%→4月:同+0.8%)、電気製品(3月:前月比+1.5%→4月:同+0.3%)は堅調に推移したものの、それ以外は概ね低調な結果となりました(図表4)。
特に、中国からの輸入依存度の高い品目では、駆け込み需要による押し上げが続いているとみられる電気製品を除けば、娯楽用品(3月:前月比+3.8%→4月:同▲2.5%)や衣料品(3月:前月比+1.1%→4月:同▲0.4%)は下落に転じているほか、4月に25%の関税が発動された自動車同部品(3月:前月比+5.5%→4月:同▲0.1%)についても反動減の影響が出ているとみられます。
先行きを展望すると、消費者マインドが悪化していることや、関税発動前の駆け込み需要の反動が見込まれることから、個人消費の下振れリスクには注意する必要があります。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…5月第3週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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