(※写真はイメージです/PIXTA)

家族や友人など、大切な人を看取ることは人生においてもっともつらいことの一つです。後悔のない最期を迎えるために、事前に知っておいた方がいいことはあるのでしょうか?本稿では、約30年間高齢者の在宅医療や終末期医療に携わる総合内科専門医 嶋田一郎氏の著書『嶋田先生 親の介護ってどうすればいいんですか?』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集し、詳しく解説します。

大切な人を看取ったあとに重要な「グリーフケア」

看取りが終わったあとも、介護や看取りを引きずってしまう人がいます。それは介護や看取りに大きな後悔を残した場合です。しかも、介護や看取りを全力で頑張った人ほど燃え尽き症候群のようになってしまうケースが多いようです。

 

例えば、あのときの決断は間違えていたのではないか、もっと話し合いたかった、心残りがあるのではないだろうかなど、さまざまな後悔に苦しみ、なかにはメンタルや体調を崩してしまう人もいます。

 

1960年代にアメリカからヨーロッパへ広がり、日本では1970年代に研究が始まった「グリーフケア」というものがあります。

 

グリーフとは、日本語にすると「悲嘆」と訳され、大切な人を失った喪失感と、そこから立ち直ろうとする2つの間で気持ちが揺れ動き、それが心身に影響を及ぼし心身のバランスを崩すなどの変化が起きることです。そういった状態になった人に寄り添い、支援することを「グリーフケア」と呼ぶようになりました。

 

不慮の事故など故人が亡くなった原因にもよりますが、最近では、グリーフ状態からなかなか立ち直れない場合は、グリーフケアについて学んだ人などから支援を受ける動きが見られるようになりました。

 

私は「グリーフケア」も介護や看取りの延長線上にあると考えています。そのためグリーフケアといえるほどのものではありませんが、長い間関わった患者の訪問診療医となり、家族と一緒に家で看取りを行ったあとに、できる限り故人に手を合わせに行くようにしています。あるいは、家族から私のところに挨拶に来てくれることがあります。そのようなときに私は、家族と故人との介護生活を振り返り、「よく頑張りましたね」と在宅介護をともに闘い抜いた家族に労いの言葉をかけるようにしています。

 

すると、ほとんどの家族が涙を流し「そう言ってもらえて救われる」といったことを口にします。みなさんどんなに気丈に振る舞っていても、大切な家族を失った悲しみは計り知れず、心に大きな傷を負っています。

 

私は医者として患者を看取るまでではなく、その後の家族を見届けるところまでが介護や看取りだと考えています。最後の話し合いを家族と行うことも含めて、これが私のなかでの介護と看取りなのです。

 

グリーフ状態に陥ることは、人の心の動きとして自然な流れです。そんなときは気のおけない人に故人との思い出や、あなたの思いをじっくりとできる限り否定せずに聞いてもらうとよいと思います。それによって癒やされ、少しずつ前を向くことができるようになっていきます。そのペースは人それぞれなので、自分のペースで悲しみから立ち直ってもらいたいと思っています。

 

どんなに完璧な介護や看取りをしても、何かしらの後悔は残るものです。結局、その後悔の大きさは、親が生きている間にどれだけ話し合いを持てたか、どのように親と真摯に向き合い、人としてどう接したかに尽きるのではないかと考えています。

 

 

嶋田 一郎
嶋田クリニック 院長
総合内科専門医

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、嶋田一郎氏の著書『嶋田先生 親の介護ってどうすればいいんですか?』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

嶋田先生 親の介護ってどうすればいいんですか?

嶋田先生 親の介護ってどうすればいいんですか?

嶋田 一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

「まだ元気だから」ではダメ! 介護は突然やってくる 親のため、自分のために今からできる準備と心構えをベテラン医師が解説 人生100年時代を迎え、高齢になっても元気に暮らす人が増えています。そのため、60代や70代…

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録