大切な人を看取ったあとに重要な「グリーフケア」
看取りが終わったあとも、介護や看取りを引きずってしまう人がいます。それは介護や看取りに大きな後悔を残した場合です。しかも、介護や看取りを全力で頑張った人ほど燃え尽き症候群のようになってしまうケースが多いようです。
例えば、あのときの決断は間違えていたのではないか、もっと話し合いたかった、心残りがあるのではないだろうかなど、さまざまな後悔に苦しみ、なかにはメンタルや体調を崩してしまう人もいます。
1960年代にアメリカからヨーロッパへ広がり、日本では1970年代に研究が始まった「グリーフケア」というものがあります。
グリーフとは、日本語にすると「悲嘆」と訳され、大切な人を失った喪失感と、そこから立ち直ろうとする2つの間で気持ちが揺れ動き、それが心身に影響を及ぼし心身のバランスを崩すなどの変化が起きることです。そういった状態になった人に寄り添い、支援することを「グリーフケア」と呼ぶようになりました。
不慮の事故など故人が亡くなった原因にもよりますが、最近では、グリーフ状態からなかなか立ち直れない場合は、グリーフケアについて学んだ人などから支援を受ける動きが見られるようになりました。
私は「グリーフケア」も介護や看取りの延長線上にあると考えています。そのためグリーフケアといえるほどのものではありませんが、長い間関わった患者の訪問診療医となり、家族と一緒に家で看取りを行ったあとに、できる限り故人に手を合わせに行くようにしています。あるいは、家族から私のところに挨拶に来てくれることがあります。そのようなときに私は、家族と故人との介護生活を振り返り、「よく頑張りましたね」と在宅介護をともに闘い抜いた家族に労いの言葉をかけるようにしています。
すると、ほとんどの家族が涙を流し「そう言ってもらえて救われる」といったことを口にします。みなさんどんなに気丈に振る舞っていても、大切な家族を失った悲しみは計り知れず、心に大きな傷を負っています。
私は医者として患者を看取るまでではなく、その後の家族を見届けるところまでが介護や看取りだと考えています。最後の話し合いを家族と行うことも含めて、これが私のなかでの介護と看取りなのです。
グリーフ状態に陥ることは、人の心の動きとして自然な流れです。そんなときは気のおけない人に故人との思い出や、あなたの思いをじっくりとできる限り否定せずに聞いてもらうとよいと思います。それによって癒やされ、少しずつ前を向くことができるようになっていきます。そのペースは人それぞれなので、自分のペースで悲しみから立ち直ってもらいたいと思っています。
どんなに完璧な介護や看取りをしても、何かしらの後悔は残るものです。結局、その後悔の大きさは、親が生きている間にどれだけ話し合いを持てたか、どのように親と真摯に向き合い、人としてどう接したかに尽きるのではないかと考えています。
嶋田 一郎
嶋田クリニック 院長
総合内科専門医
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