地域活動で「役職」をもつことで認知症のリスク減少
注目の研究結果より④
認知症予防においても、日本老年学的評価研究プロジェクトの一環として、2003年から2013年まで愛知県6市町の高齢者1万3850人を10年間追跡した調査で、「地域活動で『役職』を担うと、認知症のリスクが減る」という結果が得られました。
65歳以上75歳未満の前期高齢者の場合、一般参加者と比較して、地域活動不参加者の認知症のリスクは22%増加しているのに対して、役職参加者の認知症のリスクは19%に減少しています。これにより、ただ参加するだけではなく、役職を得ての参加がさらに認知症予防に役立つことが分かったのです。
ただ、後期高齢者においては、地域活動への参加や役職に就くことと認知症リスクへの関連性が見られませんでした。若いうちから地域活動に責任ある立場で関わることが、認知症予防には望ましいのかもしれません。
注目の研究結果より⑤
2017年7月にロンドンで行われた「国際アルツハイマー病会議(AAIC)」で発表された世界各地の専門家24人の研究に基づいてまとめられた論文に、認知症の症例の約35%は潜在的に修正可能な9つの危険因子に起因する、というものがありました。
もし、次に挙げる9つの危険因子が親にあるならば、アルツハイマー型認知症になる可能性のリスクが潜んでいます。
・中年期の聴力低下 ・中等教育の未修了 ・喫煙
・うつ ・運動不足 ・社会的孤立
・高血圧 ・肥満 ・2型糖尿病
このなかでも特に注目を集めたものが、「中年期の聴力低下」(難聴)で、「難聴は認知症の最も大きな危険因子である」という指摘がなされました。
近年の国内外の研究でも、難聴で音の刺激や脳に伝えられる情報量が少ない状態にさらされてしまうと、脳の萎縮や神経細胞の弱まりが進み、それが認知症の発症に大きく影響することが明らかになってきました。
難聴のためにコミュニケーションがうまくいかなくなると、人との会話をつい避けるようになり、次第に抑うつ状態に陥ったり、社会的に孤立してしまったりする危険もあります。
認知症予防のためにも、補聴器をつけるなど正しく難聴に対処することが大切です。適切な聞こえを維持し脳を活性化させ、家族や友人とコミュニケーションを楽しむことができれば、認知症の発症や進行を遅らせる可能性が高いという研究結果も見られます。
嶋田 一郎
嶋田クリニック 院長
総合内科専門医
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