税務調査官「優秀な息子さんだ」…51歳男性、神童と呼ばれた23歳息子の「アメリカ留学費用3,000万円」を経費計上→税務調査で課された〈衝撃の追徴税額〉に悲鳴【税理士が解説】

税務調査官「優秀な息子さんだ」…51歳男性、神童と呼ばれた23歳息子の「アメリカ留学費用3,000万円」を経費計上→税務調査で課された〈衝撃の追徴税額〉に悲鳴【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁の税務調査実績によると、個人(個人事業主)が調査を受ける確率は0.5~1.0%、会社や法人は2%ほどとなります。この確率を高いと感じるか低いと感じるかは人それぞれですが、税務調査の対象となった人が口をそろえて言うのは「まさか自分が」というセリフです。誰もが対象となりえる税務調査のポイントについて、具体的な事例をもとに詳しくみていきましょう。

魂の叫びも届かず…Aさんに課された衝撃の追徴税額

こうして、過年度に渡る留学関連費用の経費計上が発覚。

 

Aさん「なぜ私のような小市民から搾り取るんですか! さっきまであんなに楽しく話していたのに、心は痛まないんですか!? 政治家たちの裏金はいくらでもスルーするくせに……こんなの庶民イジメじゃないか!」

 

Aさんは調査官に向かって涙ながらに訴えますが、調査官は意に介しません。

 

結局、仮装隠ぺいで学費を必要経費に紛れ込ませるなど、Aさんの脱税は「悪質である」との認定を受け、2,000万円を超える所得税と重加算税を追徴されることに。

 

これにより、Aさんは預貯金の大半を失うハメになってしまったのでした。

「子の学費」はNGだが…経費にできる学費も

残念ながら、原則として高校や大学の学費や奨学金の返済を経費とすることはできません。たとえば、社員が通う大学の学費を会社が負担する場合であっても、これは「給与扱い」です。経営者であっても同様で、経費としては認められません。

 

ただし、「業務に必要であると認められるもの」については経費にすることが可能です。

 

具体的には、下記のような費用があげられます。

 

  • 経理担当者を会計専門学校に通わせる
  • 経営者がビジネスについて勉強するためにMBAに通う

 

つまり、業務に関連した特定のことを学ぶ専門学校や教育機関の学費や授業料であれば、法人の経費とみなすことが可能です。

 

社員の奨学金を肩代わりする企業も増えている

過去の学費や奨学金の返済は基本的には経費として落とすことができません。

 

しかし、近年では優秀な人材獲得のため企業が社員の奨学金を肩代わりして支払う企業が増えてきました。これは一定の要件を満たすことで会社の経費とすることが可能です。

 

高等教育機関の学生等のうち、約3人に1人が日本学生支援機構の奨学金を利用していることもあり、採用難の昨今では大企業を中心に採用するケースが増えつつあります。

 

社長の公私混同な費用計上は追徴税が課されるだけでなく、取引先からの信頼を失う恐れがあります。またなにより、その組織で働く従業員のモチベーション低下、退職につながるでしょう。

 

脱税行為は金銭以上に大きな損失を負います。税金対策は専門家に相談のうえ、法律の範囲内で正しく実施しましょう。

 

 

宮路 幸人

宮路幸人税理士事務所

税理士

CFP

 

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