通常価格の70~80%程度で購入できる「競売物件」
もし、賃貸アパートや団地住まいのあなたが、一念発起してマンション、あるいは一戸建住宅を買おうと考えたとき、実際にはどんな方法で手に入れようとしますか。通常なら、新聞広告や折込広告を注意して見たり、不動産屋で物件リストを調べたり、もっと積極的ならモデルルームやオープンルームを見学に行ったりすることでしょう。
そして、あなたの条件にあった物件があれば、ローンを組むなりして購入することになるでしょう。売出し物件が中古であるなら、売主は一般の不動産会社、新築であるなら、売主は公団・公社といった公的機関などになることもあります。
いずれが売主であっても、その売買は、多少の値引きはあったとしても、必ず時価(市場価格)で取引きされます。問屋が物を卸すときのように「卸値」になるということはありませんし、また、大根やお刺身のように、大売り出しのセール価格ということもありません。しかし、どんな商品でもそうですが、物を買うときの価格はできるだけ安いにこしたことはありません。ましてや、マイホームのように高額な買い物であれば、なおさらでしょう。
また、不動産業者にとっては、中古ビルなどの物件を安価で仕入れ、リフォームやリノベーションをかけ、ITビルに再生し転売するなどの収益物件を入手することができれば、より効率的な営業を行なうことができます。
では不動産を、時価より安い価格で手に入れることは不可能なのでしょうか。
答えは「NO」です。安く買うことが可能です。
その方法というのは、ただひとつ、競売で買うことです。この競売によって売り出される物件の価格は、平均して通常の時価の70~80%程度であり、まさに卸売価格といえるセール商品なのです。
セリやオークションと同じ感覚でマイホームを買う!?
例えば、一般の売り出し価格が3000万円のマンションであれば、2500万円程度で手に入れることができるのが競売です。そんなうまい話があるのかという声が聞こえてきそうですが、競売はあやしい裏取引ではありません。裁判所が執り行なう、法的に認められている方法なのです。
最近ではこの競売も少しずつ知られるようになりましたが、まだ一般的とまではいえません。では、いったい競売とはどんな方法なのでしょうか。ごくごく簡単にいうと、「魚や野菜などが、市場でセリにかけられて売られるように、競売も、裁判所がマンションや一戸建住宅の売主となって、競り売りで行なわれる売買」ということなのです。つまり、マイホームをセリやオークションと同じような感覚で買う、ということです。
競売物件はなぜこのように安いのか、その理由はいくつかありますが、まずは本連載を読み進めてみてください。その答えが必ずわかります。
とにかく競売というのは、売主が裁判所、つまり国であるということへの信用性や、取引の公正性、そしてなにより、価格的にみて非常に魅力のある、不動産の購入方法であるといえます。
競売で、実際に個人のマイホームを購入した人はたくさんいます。私もサポートする立場から、いくつも好例を見てきています。また宅建業者の中には、競売により取得したビジネス用のビルやワンルームマンションなどを取得し、転売して″利ざや″を稼ぐことを主たる業務としている会社もあります。
不動産をできるだけ安く購入したいと考えているのなら、チャレンジしてみる価値は十分にあるでしょう。