部局の運営経費は30年で3,000万円減、個人研究費は年間50万→10万円…電気代やエアコン代を節約する〈涙ぐましい〉国立大学の現状【国立大教授が明かす】

部局の運営経費は30年で3,000万円減、個人研究費は年間50万→10万円…電気代やエアコン代を節約する〈涙ぐましい〉国立大学の現状【国立大教授が明かす】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「大学については、10年後がすでに想像できない。5年後も難しい」。とある国立大学の教員がSNSに残したこの呟きは、決して誇張ではありません。1990年代末、まだ若手教員だった筆者の目に輝いて見えた国立大学の姿は、今や大きく様変わりしています。本記事では、政治学者で神戸大学大学院国際協力研究科教授の木村幹氏の著書『国立大学教授のお仕事——とある部局長のホンネ』(筑摩書房)より一部を抜粋・再編集して、国立大学を取り巻く厳しい財政状況について解説します。

個人研究費は年間50万円から10万円に

このような財政難の直撃を受けているのが、各教員の研究費である。筆者の所属する部局では、筆者が赴任時には一人当たり年間50万円を超えていた個人研究費が、今や年間10万円にまで削減されている。研究科全体で払われている個人研究費の合計は約300万円。なので、筆者の所属する部局の場合、部局の経費において研究費が占める割合はわずか3%程度ということになる。地方国立大学なので、学会等で東京に一泊二日で2回出張したらほぼ消える金額であり、この研究費でデータベースへのアクセス権を購入したり、パソコンを購入したりして、研究を遂行するのは、ほぼ不可能である。

 

とはいえ、現在の国立大学の部局の中には、大学から支給される個人研究費がゼロという事例も多いので、決して筆者の所属先が極端に困難な状態にあるとはいえない。当然のことながら、これで書籍の購入や海外での調査や学会報告の費用が賄えるはずもなく、まともな研究活動をするためには外部資金の獲得が必須になっている。

 

木村幹
政治学者

 

 

※本連載は、木村幹氏の著書、『国立大学教授のお仕事——とある部局長のホンネ』(筑摩書房)から一部を抜粋して紹介します。

国立大学教授のお仕事

国立大学教授のお仕事

木村 幹

筑摩書房

採用、出世、お金、働き方、人間関係、進まないDX化…… ぜんぶ見せます! 時は1993年。若き政治学者・木村幹(27歳)は、愛媛大学法文学部に助手として採用された。「雇用の安定した国立大学に就職し、研究に集中したい…

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