個人研究費は年間50万円から10万円に
このような財政難の直撃を受けているのが、各教員の研究費である。筆者の所属する部局では、筆者が赴任時には一人当たり年間50万円を超えていた個人研究費が、今や年間10万円にまで削減されている。研究科全体で払われている個人研究費の合計は約300万円。なので、筆者の所属する部局の場合、部局の経費において研究費が占める割合はわずか3%程度ということになる。地方国立大学なので、学会等で東京に一泊二日で2回出張したらほぼ消える金額であり、この研究費でデータベースへのアクセス権を購入したり、パソコンを購入したりして、研究を遂行するのは、ほぼ不可能である。
とはいえ、現在の国立大学の部局の中には、大学から支給される個人研究費がゼロという事例も多いので、決して筆者の所属先が極端に困難な状態にあるとはいえない。当然のことながら、これで書籍の購入や海外での調査や学会報告の費用が賄えるはずもなく、まともな研究活動をするためには外部資金の獲得が必須になっている。
木村幹
政治学者
