(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は、誰しもが避けられないことです。しかし、多くの方は、何から始めれば良いのかわからず、不安を抱えています。財産を適切に相続するためには、必要な手続きを理解し、ポイントを押さえて対応することが大切です。そこで、相続をスムーズに進めるために今すぐやるべきことを、ベリーベスト法律事務所の代表・萩原達也弁護士が解説します。

相続手続きで大切なポイントは「期限」と「順序」

親が亡くなった時点、または親が亡くなったのを知った時点から、遺産相続に関する各種手続きの期限が進行し始めます。期限を超過すると法的・経済的な不利益を被ることもあるため注意が必要です。

 

相続は、順を追って確実に対応することが重要であると、心得ておきましょう。

 

(1)相続手続きの多くは期限が定められている

遺産相続そのものには法律上の期限はありません。そのため、たとえ時間が経過していても相続財産を取得することは可能です。しかし、相続に付随する手続きの多くには、法律で定められた期限が設けられています。これらの期限を過ぎてしまうと、不利益が生じるおそれがあるので、期限を徒過しないように注意しながら手続きを進めていく必要があります。

 

期限が設けられている主な相続手続きと期限を確認していきましょう。

 

相続放棄・限定承認の申述|3か月以内

相続放棄・限定承認は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述の手続きをしなければなりません。この期間内に、相続放棄・限定承認の手続きを行わないと、法律上「単純承認」をしたものとみなされ、借金などの負債も含めてすべての遺産を相続することになります。

 

所得税の準確定申告|4か月以内

準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)に代わって相続人が行う所得税の申告手続きです。被相続人が事業を営んでいた場合や、不動産収入、年金収入などがある場合には、準確定申告が必要となります。この手続きは、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。

 

相続税の申告|10か月以内

相続財産の総額が相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には、相続税の申告および納税が必要です。この申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の最後の住所地を所轄する税務署に対して行わなければなりません。

 

遺留分侵害額請求|侵害を知った日から1年以内

遺言書などにより、法定相続人に法律上保障されている最低限の取り分(遺留分)を侵害する内容があった場合、遺留分侵害額請求を行うことができます。遺留分侵害額請求は、相続の開始と遺留分の侵害を知った日から1年以内に行わなければなりません。なお、この期間を過ぎると、遺留分侵害額請求権は時効によって消滅するので、注意が必要です。

 

相続登記|3年以内

相続財産に不動産が含まれている場合、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に、法務局で相続登記を行うことが義務付けられています。令和6年4月1日に施行された相続登記の申請義務化に基づくもので、正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。

 

(2)相続人には遺産を相続できる順位がある

遺産を相続できる人のことを「法定相続人」といい、その範囲および順位は、民法によって定められています。

 

・常に相続人……配偶者

 

・第1順位……子ども(子どもに亡くなっている者がいる場合にはその子どもである孫などの直系卑属)

 

・第2順位……親(両親がともに亡くなっている場合には祖父母などの直系尊属)

 

・第3順位……兄弟姉妹(兄弟姉妹に亡くなっている者がいる場合にはその子どもである甥、姪)

 

同じ順位の相続人が複数いる場合は、全員が相続人となり、相続分は原則として平等です。したがって、たとえば長男だからという理由で、他の兄弟よりも多くの遺産をもらう権利があるわけではありません。

 

また、被相続人に認知された非嫡出子(いわゆる「隠し子」)がいた場合、その子どもも、他の子どもと同様に法定相続人となるので、遺産分割協議に加える必要があります。

 

(3)相続手続きの基本的な流れ

遺産相続に関する期限やルールを理解できたところで、次は相続手続きの基本的な流れを確認していきましょう。

 

①相続人の確認

親の遺産を相続するには、法定相続人全員による協議(遺産分割協議)が必要です。遺産分割協議は、全員の合意がなければ成立しないため、相続人に漏れがないように確認しなければなりません。相続人が1人でも抜けている遺産分割は無効であり、後に相続人の抜けが発覚すると遺産分割協議をやり直さなければなりませんので、確実に確認しましょう。

 

相続人の確認は、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本等を取得する方法で行います。

 

②相続財産の把握

相続財産の把握については、前述の「財産状況の把握」で解説したとおりです。

 

③遺産分割協議の実施

相続人と相続財産が明らかになったら、遺産の分け方などについて相続人で話し合いを行います。

 

協議が調った場合は、その内容を文書化した遺産分割協議書を作成します。一方、協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申立てを行い、裁判所の手続きによって合意形成を図ることになります。調停においても合意できない場合には、裁判所によって判断される「審判」により遺産分割の内容が決定されます。

 

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※本記事は、公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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