(※写真はイメージです/PIXTA)

アトピー性皮膚炎はストレスで悪化します。子どもがストレスを抱えやすい受験期にアトピー性皮膚炎と上手く付き合っていくコツとは。皮膚科医・石黒和守氏の著書『“前向き”アトピーライフ』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集し、アトピー性皮膚炎とストレスの関係性について解説します。

ストレスの発散が上手くアトピー性皮膚炎と付き合うコツ

余談ですが、私はアトピー性皮膚炎であることを含めて、マイナスな経験が必ずしもマイナスな結果にはならないと実感しています。自分がアトピー性皮膚炎であることによって患者のつらさが分かる医師になれたと感じますし、受験のときも1浪したおかげで、現役のときにはなかった福井医科大学の1期生として入学することができました。

 

大学では自分たちで一からテニス部を立ち上げるなど、すばらしい仲間とさまざまな経験もできました。つくづく、人生は何が功を奏するか分からないものです。

 

大学へ入学後も、皮膚科の医局に入局したときや研修医時代など、さまざまなターニングポイントで症状の悪化を感じました。研修医というのは非常に多忙で食事をとる時間も満足になかったため、この時期も非常に症状が悪化したと記憶しています。

 

アトピー性皮膚炎の患者でも工夫次第でストレスは解消できる
アトピー性皮膚炎はストレスによって症状が悪化するため、いかにしてストレスを発散させるかが重要になります。

 

ですから、私は青年期以降の患者に対しては、いつも「あなたの趣味はなんですか」と聞くようにしています。

 

なぜなら、ストレスの発散には趣味に没頭することがいちばんだからです。診察時に患者の趣味を聞いたら、積極的に趣味を楽しむようにアドバイスします。

 

カラオケが趣味ならば、「嫌なことがあったらカラオケで歌いまくってくださいね」と話しますし、ランニングが趣味ならば「ランニングで汗をかいたらできるだけすぐに拭くようにしてください」などと、アトピー性皮膚炎をコントロールする視点からアドバイスします。

 

反対に、無趣味だと言う患者がいたら「なんでもいいから興味があることに挑戦してみてはどうですか」とアドバイスします。アトピー性皮膚炎の症状を緩和させるのに、ストレス発散の方法を持つことはとても大切だからです。

 

改めて趣味を探さなくても、やってみて自分が「楽しい」と思えることや「心地良い」と感じられることならば、なんでもいいと思います。

 

 

石黒 和守

石黒皮膚科クリニック

院長(日本皮膚科学会認定専門医・医学博士)

※本連載は、石黒和守氏の著書『“前向き”アトピーライフ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・編集したものです。

“前向き”アトピーライフ

“前向き”アトピーライフ

石黒 和守

幻冬舎メディアコンサルティング

肌荒れや我慢できないかゆみなど、アトピー性皮膚炎は患者の心身に大きな負担を与える非常に厄介な疾患です。また完治が難しく、生涯にわたって慢性的な症状に悩まされ続ける患者も少なくありません。 皮膚科医であり、自身…

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