アトピー性皮膚炎におけるスキンケアの重要性
近年、医療現場で見直されているのが、アトピー性皮膚炎におけるスキンケアの重要性です。日頃からスキンケアを徹底することでアトピー性皮膚炎の悪化を防げる可能性がありますし、早い時期から適切なスキンケアをすることで、アレルギー疾患を引き起こす「アトピーマーチ」の進行を止めることもできます。
特に新生児の子どもで、過去に食物アレルギーを起こしたことがある、または家族や血縁者にアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎の患者がいるなど、アトピー性皮膚炎になりやすい体質の持ち主は、スキンケアが効果的です。
新生児の頃から保湿剤で肌を保護することで、アトピー性皮膚炎の発症が予防されたという報告があるからです。
保湿剤には、大きく分けてワセリンに代表されるエモリエントと、ヒルドイドに代表されるモイスチャライザーがあります。
簡単に言うと、上からフタをして保湿するタイプと、中から潤して保湿するタイプがあります。ワセリンなどの保湿剤は上からフタをするタイプの保湿剤です。中から水分が出ていくことを防ぐ効果はありますが、水分を補給する効果は期待できません。
一方、保湿成分を含有するモイスチャライザーは角質を潤す効果が期待できます。ワセリンにしてもモイスチャライザーにしても、市販製品が数多くあります。ただし、市販の保湿剤は製品ごとに純度が違いますから、皮膚科を受診して処方してもらうのが最善です。
石黒和守
石黒皮膚科クリニック
院長(日本皮膚科学会認定専門医・医学博士)
