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みんなに好かれたいばかりに…
アウトドアグループのメンバーから、「頼れるエリートパパ」なんて呼ばれることもしばしば。仕事では自分の業務が山ほどあり、頼ってくる後輩には近寄りがたいといわれることもありましたが、いまでは頼られることに優越感さえ感じることがあります。
ゴルフの仲間からはゴルフ場の会員権を購入して優先予約できるように懇願されたことで、数ヵ所の会員権をゲット。さらに購入した車をより多くの人が乗れるように、わずか1年足らずでグレードアップして買い替えました。
そんなあるとき、Aさんは20代のキャンプ仲間が自分の噂をしているところを偶然耳にします。
「エリパパ（頼れるエリートパパの略）、前にも増して羽振りよすぎてヤバいね」
「大体エリパパなんていって持ち上げてるけど、こっちは孤独な60代の相手をしてあげて、向こうは勝手におごってくれる、清らかなパパ活でしかないのに」
Aさんは、その言葉が胸に突き刺さるように感じました。「エリートパパ」がまさか、そんな不名誉な過去に由来する噂だったとは。顔から火が出るような恥ずかしさと、同時に突きつけられた現実の厳しさに、大きなショックを受けました。
帰宅後、Aさんはこれまで目を背けてきた現在の収支を改めてじっくりと見つめ直しました。年金だけでは到底足りず、外出するたびに財布の中身は空っぽ。年長者だからとつい大盤振る舞いしてしまうことも。貯蓄はみるみる減り続け、生活費、高価な車両代、複数のゴルフ会員権の維持費などを含めると、退職後のわずか2年で5,000万円があっという間に消えていました。
「これまで自分が使ってきたお金は、ベンツのCクラスなら10台は買える金額じゃないか……」
湯水のように消えていく資産、そして不名誉なあだ名。Aさんはもう、見栄を張るような無理のある生活は終わりにしよう。これからは一人で楽しめる工夫をすればいいじゃないか、そう心に誓ったのです。
自分の弱さが安泰の老後を脅かすことに
いまや友達作りや恋愛もSNSでという人が多くなっています。あらかじめ趣味などの共通点がわかっていると打ち解けやすい、楽しめるなどといった理由から利用する人が多いようです。Aさんのように退職デビューとなると、自分より若い人に囲まれることになり、ついつい見栄を張ってしまうような甘い誘惑があるかもしれません。
老後破産しやすい人の特徴として、生活レベルが下げられない人、資金計画をしない人などがあげられます。Aさんの場合、おひとりさまで寂しい老後を回避するためみんなに好かれたいと、さまざまな誘惑に負けてしまったようです。一度立ち止まって、資金面、生活面の見直しをすることをおすすめしたいです。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表
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