突然の衝撃……トランプ大統領の関税措置
ドナルド・トランプ大統領がスリランカからの輸入品に対して44%の報復関税を課すという突然の決定を下したことにより、スリランカの首都コロンボは大きな衝撃に包まれた。
アメリカ政府はこの措置について、「不公正な貿易慣行」および「アメリカ製品に対する市場アクセスの欠如」を理由として正当化している。本件は、スリランカの経済・社会・地政学的立場に対して広範な影響を及ぼす可能性がある。外交当局が解決策を模索するなかで、スリランカは新たな国際貿易秩序の中で現実と向き合い、また機会を見出す必要がある。
即時的な影響:輸出、衣料業界、雇用に打撃
最も直接的かつ深刻な打撃を受けるのは、スリランカの輸出産業、特に衣料品業界である。アメリカはスリランカにとって最大の単一輸出先であり、衣料品だけで年間15億米ドル以上を輸出している。衣料品輸出はスリランカの外貨獲得の柱であり、主に地方に住む女性を中心に35万人以上を雇用している。
44%の関税が課されることで、スリランカ製衣料品はアメリカ市場において競争力を大きく失い、注文の激減が予想される。業界関係者によれば、最大で6億米ドル以上の収益損失が生じる可能性がある。すでに下請け業者には「コストを40%削減せよ」との要請が出ており、解雇や工場閉鎖の前兆とみなされている。
経済危機後に立ち直りつつあった衣料産業は、今再び倒産の連鎖に見舞われる可能性があり、スリランカ経済が依然として脆弱な中、雇用喪失は貧困率の上昇、地方開発の後退、社会保障への圧力といった深刻な事態を引き起こすおそれがある。
関税ショックを突破口に? 問われる経済の転換力
厳しい見通しの一方で、構造改革を進める好機と捉える見方も存在する。
まず挙げられるのは、輸出市場の多様化である。これまでスリランカは、限られた国に輸出を依存してきた。今こそ、インド、ASEAN諸国、アフリカなどの地域市場への進出や、GSPプラス(EUが開発途上国に提供する特恵関税制度の1つ)制度を活用したEU向け輸出の強化が急務となっている。
また、ICTおよびデジタルサービス分野は関税の影響を受けないため、今後の成長エンジンとして期待される。これらの分野を強化することで、低利益の製造業への依存を脱し、高付加価値型の輸出へと移行することが可能である。
さらに、国内の貿易政策を見直し、関税制度の簡素化、行政手続きの緩和、競争の促進といった制度改革を行うことで、外国直接投資を呼び込み、将来の外的ショックに耐える経済構造を築くことができる。
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