2045年には日本の人口は1億人を切る!?
日本政府などがインバウンドビジネスに力を入れ始めた理由はいくつかありますが、中でも重要なのは、「少子高齢化と人口減少」の問題です。人口減少によって、日本の国内市場が減少していくことが懸念されているのです。
「高度成長期」といわれていた1955年頃の日本は、中国、インド、アメリカ、ロシアに次ぐ世界第5位の人口をかかえており、十分に大きな市場でした。国勢調査によれば、当時の人口9000万人以上のうち、65歳以上の高齢者人口は479万人(5.3%)にすぎず、15~65歳の生産年齢人口は5517万人(61.2%)でした。
ところが2015年の世界人口ランキングを見ると、日本は中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、パキスタン、ナイジェリア、バングラデシュ、ロシア、メキシコに次ぐ11位にまで転落。高齢化が進み、世界市場における競争力は、徐々に弱まりつつあります。2045年には、日本の人口は1億人を切るという予測まであります。
新興国の経済成長で世界の観光市場は拡大路線へ
こうした少子高齢化と人口減で、国内市場は伸び悩みが続くことは間違いありません。そのような中で大きな期待をされているのが、外国人旅行者の日本国内での消費活動です。
近年海外の新興国では経済成長が著しく、これまで海外旅行に行けなかった人たちが行けるようになってきました。新たな旅行者が増えたことで、世界の観光市場自体が拡大をしているというわけです。国連世界観光機関のデータによると、2010年から2030年までの世界の国際旅行需要は年平均3.3%の増加が見込まれています。
日本の経済が拡大するために残された道は、この拡大しつつある世界の観光市場を十分活用すること。つまり、海外から訪れた旅行者に国内で活発な消費活動をしてもらうことにあるのです。訪日観光が、新たな成長産業として注目されるようになった理由は、まさにここにあります。
【図表 世界の国際旅行者数の推移と見通し】