妻からは離婚の申し出、息子からは無情の一言
まずは、妻からの離婚の申し出です。
息子が大学を卒業してすぐ、「子育てが終わったから別れたい」と伝えられたのです。加藤さんが一方的に決めた息子の進学によって、離れて暮らすことになってしまったことに長年苦しんでいたのだといいます。
さらに加藤さんの想定外は続きます。
それから数年後、加藤さんが65歳、息子が30歳のときです。加藤さんは年金暮らしとなりましたが、年金は月13万円程度。息子と自分たちの生活費・教育費にお金を使ってきたほか、離婚によって資産の一部を妻に譲り渡したこともあり、貯金はわずかでした。
それでも自分には高給取りの息子がいるから。自分が懸命に育てて成功したのだから、老後の面倒ぐらいは快く見てくれるだろう。……そう思っていたのです。
改めて思い返してみると、それまで息子と一対一できちんと話したことがなかったという加藤さん。そこで知ったのは、思いもかけない息子の本心でした。
地元の友達と離れて東京に行きたくはなかった。家族一緒に暮らしたかったし、高校では自分が埋もれるほど優秀な学生に囲まれて精神的に辛かった。大学も長時間のアルバイトをしながら通い、400万円以上借りた奨学金の返済も自分でしている。この先助けてあげたいと思っているのは、自分のことを心配して育ててくれた母親だけだ……。
加藤さんは、「まったく感謝していないわけではないから」と、まるで手切れ金のように息子から300万円を渡されつつ、実質的な絶縁宣言を受けたのでした。
老後計画に「子どもからの援助」を織り込むべきではないワケ
加藤さんは良かれと思ってしたことが、息子にとってはそうではなかった……。相手が我が子でも、きちんと話し合いをすることが必要だったことは言うまでもありません。また、家族が2拠点バラバラで暮らすことで、余計に費用負担が増えたことが、家計を一層苦しくさせました。
結果として、加藤さんは自分の老後資金もしっかり用意できぬまま、一人の老後を送ることに。一方的に頼りにしていた息子にも、まとめて渡された「手切れ金」以上の援助を求めることは難しい状況です。
仮に加藤さんほどのケースでなかったとしても、子どもを頼ることを前提に老後計画を立てるのは間違いです。
「子どもの教育費がかかったから老後資金が用意できなかった」と後から言うのであれば、事前に子どもに金銭的な事情を話し、それでも進学を希望するか確認するなど、親子であっても相互の確認をすることが、後々トラブルを生まない1つのポイントだといえるでしょう。
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