103万円の壁の本質は「基礎控除の据え置き」にある
与党の少数化の事態を受けて、野党の主張も議論せざるをえなくなり、103万円の壁などが議論されだしたのは、望ましいことである。しかし、この問題の本質は基礎控除の問題なのである。健康で文化的な最低限の生活を憲法が保障しているので、健康で文化的な最低限の生活費に相当する所得金額には課税してはならないのであり、その趣旨で設けられているのが基礎控除である。
この基礎控除は戦後4800円から始まり、物価などを考慮して毎年徐々に引き上げられてきたが、1995(平成7)年に38万円まで引き上げられたものの、その後変わっていないことが問題だったのである。確かに2020(令和2)年に48万円に引き上げられたが、給与所得控除額が10万円引き下げられたために、サラリーマンは、実質30年間変わらず据え置かれてきたのである。
サラリーマンの給与所得控除というのは、サラリーマンに必要経費の実額を控除させないための代替措置として設けられており、添付の表のように収入に応じて変化していくものである。
最低でも55万円は保証されているので、それに48万円の基礎控除を足すと103万円となり、ここまでは所得税がかからないことになる。だから103万円と言うよりは、48万円の基礎控除が据え置かれ続けてきたために生じた問題とも言える。
このことは添付の二つの図を比較するとよく見えてくる。添付の図は、2000(平成12)年の課税最低限の国際比較である。
財務省はこのような場合に給与所得者を例に出す。事業所得者だと38万円がもろに出てしまうので、給与所得控除という外国にはない独自の控除を持っている日本の給与所得者を出せば高く見えるからである。その結果は、ご覧の通り(添付の上の図)、5ヵ国の中で一番高かった。
その後、2024(令和6)年まで、基礎控除についてはそのまま据え置いてきた。他方、諸外国はこの間も基礎控除の見直しは毎年のように行ってきた。その結果どうなってしまったかを示しているのが添付の下の図である。
もう給与所得控除を含めても、5ヵ国の中で最低になってしまったのである。議論しなければならないのは、この点なのである。
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