「103万円の壁」は本当に壁なのか?
「ご隠居、国民民主さんの103万円の壁撤廃を若者が支持したようで」
「かつては配偶者のパート収入の問題で、1987(昭和62)年の配偶者特別控除で一応解消していたが、どうやら若者の給与収入が103万円を超えると税金がかかることや、扶養控除の対象から外れることの問題のようだ」
「ご隠居は、賛成なんですかい?」
「賛成もなにも、この問題は、分かりやすくいえば基礎控除の問題なのじゃよ。1995(平成7)年にようやく38万円に引き上げられたが、その後も実質は変わっていない。2020(令和2)年に48万円に引き上げたが、給与所得控除を10万円引き下げたから、給与所得者は30年以上も据え置かれていたのじゃ。その結果もう隠せなくなっているのじゃ」
「おや、何が?」
「2000(平成12)年の財務省の資料では日米英仏独5ヵ国の課税最低限の比較で日本が一番高い国にされておった。外国にはない給与所得控除を入れたうさんくさいものだったがの〜。今ではそれを入れても……」
「下がっちゃった?」
「下がったどころか、最下位じゃよ」
「え〜〜〜」
「個人の課税最低限の引き上げを放置してきたからじゃ。単身者の場合は英米独の約半分、仏の約四分の一にまで下がっているのじゃよ」
「そんなに低い収入から課税! 情けねぇ〜」
(2024・11・7)
103万円の壁というのは、かつて配偶者控除の問題としてしばしば取り上げられてきたが、それはパート主婦が収入103万円を少しでも超えると、夫の配偶者控除が適用できなくなるため、夫の税金が増えて、夫婦の手取りがかえって減ってしまう逆転現象のことであった。この問題は配偶者特別控除を入れることで基本的に解消した。パート主婦は103万円を超えても、配偶者控除はなくなるが、それに変わる配偶者特別控除というのが適用されるようになり、夫婦の手取りは増えていくようになったからである。
したがって、国民民主党の103万円の壁というのは、専門家の間では、意味がよく理解できなかったが、扶養控除の対象となっている若者が103万円のアルバイト収入があると扶養控除から外れてしまう問題等を指していることが見えてきた。確かに一つの問題ではあるが、このような若者にもっと働けというのがよいのか、働かなくとも勉学に専念できるような環境を形成していくことの方が大事なのかは悩ましい。
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