本連載は、ベネフィット税理士法人の代表社員、田崎裕史氏と、同法人所属の税理士、伊澤真由美氏による共著、『ゼロから開業して1億円を目指す美容室経営術』(三和書籍)の中から一部を抜粋し、美容室を新規出店する際の準備と心得を紹介します。

「事業としてどのように展開していきたいか」を明確に

自分のお店をもちたいと思ったときに、まず最初に取り組んでいただきたいのが、コンセプトづくりです。ここでいうコンセプトとは、お店の雰囲気などではなく、どう事業を展開していくか、ということ。

 

自分のお店の目指すべき場所はどこか、経営をしていくうえで譲れないものは何かを考えてください。

 

ではなぜコンセプトが必要なのでしょうか。それは、コンセプトによって、具体的にどういうお店をつくりたいのか、が決まってくるからです。

 

おそらく、本気でコンセプトを考えるのはスタッフが増えてきて、事業として展開していく段階になってからです。美容室でいうと、二店舗目を開業するあたりでしょう。ベクトルをそろえなければいけないので、目指すべき場所、方向性をスタッフに指し示す必要が出てきます。自分にそれがないと、方向性を指し示すことができません。

 

そのときにならないと、本当に自分がどうしたいのかは、よくわからないかもしれません。けれど、事業としてどうしていきたいのかを最初の段階で少しでも明確にしておけば、後の展開がしやすいのです。

 

[図表]コンセプトのイメージ

一号店の出店計画は、今後の事業展開を考え慎重に

例えば、一〇店舗展開していきたいのに、最初のお店が郊外の小さい店ではおそらく難しいでしょう。

 

それならば、集客のしやすいターミナル駅にしたほうがよいかもしれません。最初は小さいお店のほうが経営しやすいかもしれませんが、店舗展開を考えるなら少し大きめの店にして、スタッフを多めに入れられるほうがよいでしょう。

 

開業前の段階で考えるのは、最初は難しいかもしれませんが、そのあとの展開をしやすくするためにも、できるだけコンセプトははっきりさせておきたいものです。実際にあった例として、こんなお店がありました。

 

一五坪でオープンしたけれど、二店舗分のスタッフを雇うことができず、店舗展開ができないのです。また、一店舗目を郊外でオープンし、うまくいったのですが、二店舗目を出すときになかなか採用ができません。

 

こんな実例があるので、先々を考えた一号店の計画を考えなければならないと思うのです。この連載を読んだ方は、そこを強く意識して考えていただきたいと思います。

ゼロから開業して1億円を目指す 美容室経営術

ゼロから開業して1億円を目指す 美容室経営術

田崎 裕史、伊澤 真由美

三和書籍

美容室オーナーが、最初に掲げるべき目標は、年商1億円。 本書には新規出店の準備と心得、美容院を軌道に乗せるために必要なこと、さらには将来を見据えた多店舗展開まで、年商1億円を目指すためのノウハウが満載されている。…

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