今から15年後、男性の5人に1人・女性の4人に1人が〈独居老人〉になる日本…超高齢社会で拡大する「終末格差」の実態【経済学者・野口悠紀雄氏が解説】

今から15年後、男性の5人に1人・女性の4人に1人が〈独居老人〉になる日本…超高齢社会で拡大する「終末格差」の実態【経済学者・野口悠紀雄氏が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

かつて多くの人の週末は平等だった。しかし、終末に至るまでの状況が人によって大きく異なるようになり「終末格差」が広まったーー。そう語るのは、経済学者の野口悠紀雄氏です。本記事では、野口悠紀雄氏の著書『終末格差 健康寿命と資産運用の残酷な事実』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、終末格差が拡大する過程について解説します。

「終末格差」が広がった

高齢者の同居者が配偶者だけだと、一方が病気になったり要介護状態や認知症になったりすれば、他方が支えなければならない。いわゆる「老老介護」になる。

 

2000年から介護保険制度が施行され、建前上は、自宅にいたままでもこうした事態に対処できることになった。しかし、実際には、介護者の負担は重い。それに耐えかねて要介護者である配偶者を殺してしまったという悲惨な事件も起きている。

 

また、配偶者が亡くなって1人暮らしになった後で、要介護状態になる場合もある。その場合には、老老介護よりさらに困難な状況になってしまう。

 

子が介護しようとすれば、そのために退職しなければならないという「介護離職」の問題が発生する。

 

介護施設に入れば何とかなるかもしれない。しかし、特別養護老人ホームは一杯で、いくら待っても入れない場合が多い。民間の施設で満足のできるところに入るには、大変な費用がかかる。その費用を払える人もいるが、払えない人も多い。

 

こうして、終末に至るまでの状況が、人によって大きく異なるようになった。つまり、「終末格差」が広がったのだ。

 

なお、ここで「終末」といっているのは、「死の直前」という意味ではなく、それに先立つ数年間(場合によって異なるが、2、3年から10年間程度)の期間を指している。

 

「老後格差」と呼んでもよいのだが、「高齢者」の定義である65歳以上よりは、もう少し後の時期のことなので、ここでは「終末格差」という言葉を使っている。

 

 

野口悠紀雄

経済学者
一橋大学名誉教授

 

 

注目のセミナー情報

【事業投資】3月22日(土)開催
年商5億円も夢ではない
なんと⁉店舗継続率、驚きの97.3%!
「買取大吉」のリユースビジネスの秘密とは

 

​​【税金】3月25日(火)開催
“国税OB不動産専門税理士が登壇“不動産投資セミナー
実物件を使ったシミュレーションで学ぶ賢い不動産投資術!

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は野口悠紀雄氏の著書『終末格差 健康寿命と資産運用の残酷な事実』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

終末格差 健康寿命と資産運用の残酷な事実

終末格差 健康寿命と資産運用の残酷な事実

野口 悠紀雄

KADOKAWA

幸せな老後を迎えるために必要なこととは? 「トルストイの小説『アンナ・カレーニナ』の冒頭に、つぎの有名な言葉がある。「幸せな家庭は同じように幸せだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸だ」。 終末についても、同じこと…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録