副鼻腔炎の治療で治る人もいる
気道性嗅覚障害の主な原因は副鼻腔炎です。副鼻腔は鼻の周りにある骨の空洞のことで、左右に各4つ、合計で8カ所あります。ウイルスや細菌によって鼻腔に炎症が起こると鼻腔と副鼻腔をつなぐ管がふさがってしまい、細菌やウイルスが繁殖してしまいます。膿うみになったものは鼻水や痰として排出されます。調子の悪いときに黄色や緑色の鼻水が出ることがあると思いますが、副鼻腔炎の症状の一つです。
症状は匂いが感じられにくいだけでなく、倦怠感、頭痛、咳、息苦しさ、発熱などさまざまで、これがまたコロナで現れる症状と似ているために、匂いの障害がコロナの後遺症といわれてしまうゆえんです。
顔のレントゲンや、スコープを使って鼻の奥をのぞくと膿がたまっているのを確認することができますが、スコープのない内科では診断ができません。内科の先生はおそらく顔のレントゲンも撮りません。診断ができないから副鼻腔炎に効果のある薬は偶発的にしか処方されません。したがって治らない、場合によってはさらに悪化してしまうという状況が起こってしまうのです。
急速な症状は急性副鼻腔炎と呼ばれますが、3カ月以上症状が続いていると慢性副鼻腔炎と呼ばれます。コロナにかかって匂いがしないという人は、副鼻腔炎になってしまっている可能性が高いのです。内科で治療をしても治らず、匂いがしないと悩んでいるのなら、耳鼻咽喉科で鼻の中を診てもらいましょう。
具体的な治療法
治療には抗生物質と、痰の排出を助ける去痰薬を使います。副鼻腔炎では膿をしっかり除去する必要がありますから、抗生物質は必須です。
それにしても1カ月以上、匂いが感じられないと不安になると思いますが、炎症が激しいと匂いを感じるシステムが一時的に壊れてしまうことがあるのです。膿がなくなり、そのシステムが戻れば匂いは戻ってくることが多いです。
実際、全員とは言い切れませんが、コロナ後の嗅覚障害を、副鼻腔炎に準じて治療をして治った人は多くいます。そしてコロナでなくても、いわゆる風邪症状後に嗅覚障害が起こり、副鼻腔炎に準じて治療を行ったところ回復した人も何人もいました。
ウイルス感染後の副鼻腔炎、それに伴う嗅覚障害はコロナだけの問題ではないはずなのですが、コロナだけで、しっかり研究されている印象があります。
小田切恵三郎
上石神井耳鼻咽喉科 院長
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