インターネットやSNSの普及によって、私たちは日常的に膨大な情報に触れるようになりました。さまざまな情報が瞬時に手に入るようになった半面、不正確なものや誤解を招くようなものも混在しており、ユーザーには情報を選別するメディアリテラシーが求められます。特に医療分野は、誤った情報を掴むと取返しのつかない事態を招きかねません。本記事では、医師の小田切恵三郎氏による著書『真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、花粉症に関する情報の真偽について解説します。
「早めに使用せよ」で得するのは誰か
花粉症の治療は、死なないために行うのではなく、自分の仕事、生活を不自由なく送るための治療です。花粉症の薬を飲む理由と薬の働きを考えれば、すべての人が、花粉症の症状が出る数週間も前から薬を飲み続ける必要はないと思います。鼻がつらい人は、ずっと飲んでいるほうがいいと思います。けれど、ほどほどの人は、時々でいいかもしれませんよ。
では、なぜ「早く飲み始めるほうがよい」という論文が出たり、情報番組がそれを取り上げたりするのかといえば、やっぱり経済効果かな、なんて疑ってしまいます。
私は、症状がひどくなさそうな人には、大変なときや必要だと思うとき薬を飲んで、そうでない日は薬を使わなくてもいいと伝えます。花粉症の治療は患者さんの日常生活が満足であれば、それでいいのです。
レーザー治療や舌下免疫療法を希望する人には、別のクリニックや病院を紹介します。
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上石神井耳鼻咽喉科
院長
大阪大学基礎工学部卒業後、住友重機械工業での勤務を経て浜松医科大学に進学し、医学の道を歩み始めた。浜松医科大学第一外科(心臓血管外科、呼吸器外科、消化器外科、救急科、乳腺外科、小児外科)に入局したあと、耳鼻咽喉科に転科。2006年に上石神井耳鼻咽喉科を開業し、現在に至る。
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