頼れる姉さん女房を失った夫、遺族年金の仕組みに怒り
会社員の山内さん(仮名)は54歳。数年前、馴染みの飲み屋で知り合った香里さん(仮名)と知り合い、結婚しました。
実はこの2人、年の差が13歳。香里さんは67歳とかなりの姉さん女房ですが、とにかく気が合い、年齢のギャップを感じずに仲睦まじく暮らしていました。
妻はすでに年金暮らしとなり、山内さんは食品工場で働いています。金銭的に余裕があるとはいえませんが、小さなアパートで夫婦2人で生きていくのには困らない。そんな生活でした。
ところが、ある日働く山内さんの元に香里さんの友人から電話が入りました。香里さんと2人で喫茶店に入ろうとしたその時、急に倒れたというのです。その後救急搬送されましたが、急性心筋梗塞により突然の別れとなりました。
かなりの年上でしたが「女は長生きだから心配ない」と夫婦でよく話していました。それなのに、こんなことになるとは……。
悲しみに暮れながら葬儀を済ませた山内さん。その際、親切な友人が身内が亡くなったときにはいろいろ手続きをしなくてはいけないこと、そのなかに遺族年金があり、自分で申請しないといけないといった助言を受けました。
これまでは頼れる香里さんになんでもお願いしていた山内さんでしたが、しばらくして手続きに赴きました。そこで、驚きの事実を告げられます。山内さんは遺族年金の対象外で、1円も受け取れないというのです。
子どもはいなくて現在54歳の山内さんは、遺族基礎年金・遺族厚生年金どちらの受給要件も満たしていませんでした。
香里さんが存命中に受け取っていた年金は年150万円程度、工場で働く山内さんの年収は320万円前後だったので、合計470万円でやりくりしていました。しかし、これからは320万円で生活をする必要があります。
節約には慣れている山内さん、生活については何とかしようと考えました。しかし、こんな思いがよぎりました。
「彼女が長年払ってきた年金保険料はいったいどこにいったんだ?」
香里さんが会社員時代に一生懸命働いた給料から天引きされてきた、多額の年金保険料。その事を考えると怒りがわいてきた山内さん。
「妻はもちろん俺ももらえない。どうなってるんだよ…!」
しかし、どうすることもできず諦めるしかなかったのでした。
あなたは遺族年金、もらえる?もらえない?確認を
このように遺族年金は、どの人の性別、年齢、家族構成、収入など複合的な要件で受給の可否や金額が変わるという特徴があります。
というのも、遺族年金は夫が亡くなったときに、収入がない・または少ない妻を助けるために始まった制度で、現代のように妻も夫と同じぐらい稼いだり、妻の方が夫よりも稼ぎが多くなったりするようなケースには対応していないからです。
男女差を是正する方向で検討が進められてはいますが、遺族年金は受け取れたとしても「金額が少なすぎる」と感じる人も多いのが実情です。
家計の大黒柱が亡くなったとき、自分の家庭ではいくら遺族年金が受給できるのか把握しておくこと。そして、きちんと貯金をする、死亡保険をかけておくなど、生活を守れるように準備をしておくことが大切です。
参考:日本年金機構「遺族年金(受給要件・対象者・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/index.html
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