天然か、合成か? ルビーとサファイヤの品質を見極める方法

今回は、ルビーとサファイヤの品質を見極める方法を見ていきます。※本連載は、諏訪貿易株式会社の会長として、世界各国の宝石および宝飾関連業者とのビジネスを行っている諏訪恭一氏の著書、『価値がわかる 宝石図鑑』(ナツメ社)の中から一部を抜粋し、主要な宝石について、その価値や品質、選び方などを紹介します。

プロでも困難なときがある「宝石の判定」

1904年、フランス人の化学者ベルヌーイがルビーの合成を公表しました。しかし、合成と表示せずに販売したために世界中の業者が本物として扱い、天然ルビーの信頼性が大きく損なわれたのです。これを機に必要性が高まり、宝石学が一気に進歩・普及したのは皮肉なことです。

 

こんなことがありました。21世紀になった頃、ニューヨークのアンティークジュエリーショーで、18金の台に1ctの美しいルビーが入ったリングを仕入れました。

 

ティファニー社の刻印が入ったもので、出展者も信用できる人物だったこともあり購入を決めたのですが、後に真偽の判定をしたところ、合成ルビーとわかったのです。出展者も気がつかなかったとのことで、返金されて、ひどく申し訳なさそうでした。

 

誰かが中石をすり替えて流通させたのか、あるいはリングを作ったときにすでに合成だったのか結論は出ませんが、宝石の判定は素人はもちろん、プロにも困難なときがあるのです。

 

 

「拡散加熱処理」された石は機器を使えば見抜ける

拡散加熱処理は、鉱物を加熱して、微量の元素を拡散、浸透させて色を改変することをいいます。単なる鉱物が美しい色に仕上がりますが、それは紛れもなく人工着色で、宝石としての価値はありません。

 

十数年前から表面拡散処理したブルーサファイヤや、ベリリウム元素を加えて拡散加熱したパパラチヤサファイアが市場に出回りました。ラボは機器を使って完全に見抜くことができますが、還流品にも混入している可能性があるので注意が必要です。

 

合成・模造石が多いサファイヤ…海外での購入は要注意

ルビーの合成に成功したベルヌーイはサファイヤの合成も成功させています。サファイヤは古来より多くの人々に好まれたがゆえに、合成、模造石が多い宝石ですが、内包物をはじめ天然とは異なる要素が多いため、プロにはほとんど見分けがつきます。海外でよく見かけるみやげ物店の合成・模造の偽物には注意が必要です。

 

 

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諏訪貿易株式会社 会長

慶應義塾大学経済学部卒業。
1965年米国宝石学会(GIA)宝石鑑別士(G.G.)資格を日本人第一号として取得。
1983〜1985年、CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)色石委員会副委員長。
1985〜1989年、ICA(国際カラーストン協会)執行委員。
1991〜2001年、NHK学園ジュエリー講座講師。
1995〜1996年、(社)日本ジュエリー協会宝石部会ダイヤモンド小委員会委員長。
1997〜1999年、(社)日本ジュエリー協会理事。
北米、南米、欧州、東南アジアなどへの海外出張は330回にも及び、世界各国の宝石および宝飾関連業者とのビジネスを展開。精度の高い情報収集活動および研究を行っている。

【主な著書】
『宝石―品質の見分け方と価値の判断のために』(1993年 世界文化社)
『宝石2 ダイヤモンドとカラーストーンの価値の決まり方』(1998年 世界文化社)
『宝石3 ジュエリー―その品質と価値の見方』(2000年 世界文化社)
『ダイヤモンド―原石から装身具へ 』アンドリュー・コクソン共著(2009年 世界文化社)
『指輪88―四千年を語る小さな文化遺産たち』宝官優夫共同監修(2011年 淡交社)
『決定版 宝石 品質の見分け方と価値の判断のために』(2013年 世界文化社)
『価値がわかる宝石図鑑』(2015年 ナツメ社)

著者紹介

連載富裕層のための「良質な宝石」の見極め方

価値がわかる 宝石図鑑

価値がわかる 宝石図鑑

諏訪 恭一

ナツメ社

宝石とは大自然が生み出し、美しく永く身に着けられて価値を持ち続けるもの。本書では、主要な宝石について、美しいジュエリーの写真とともにその価値や品質、選び方などを丁寧に紹介しました。品質・市場価値の目安を3段階で…

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