人生を楽しめばよかった…後悔の涙
いよいよ老後生活がスタートしました。加藤さんは若いときから「定年退職したらやりたいことリスト」を作っていました。妻と旅行、高級料理を食べに行く、映画をたくさん観る……。十分なお金ができてから、気兼ねなく人生を楽しもうと考えていたのです。
しかし、海外旅行に行こうとしても「ちょっとでも安い時期に」「もっとホテルを安く」などと考えて、なかなか実行に移せません。それどころか、65歳を過ぎて体力や気力の衰えから「あまり遠くに行くのも……」と、やりたいことのはずなのに、おっくうになっていました。
食事や映画も同様で、昔ほどたくさんのものを美味しくは食べられず、映画を観ても感情が老化したかのごとく、あまり楽しめないのです。
さらに、加藤さんをまさかの事態が襲います。ある日、朝起きると身体のしびれを感じた加藤さん。物が二重に見えるという異常事態でしたが、すぐに病院に行く判断をせずに1日半過ぎたころ、妻に付き添ってもらい病院に駆け込みました。
診断の結果は脳梗塞。リハビリで改善はしたものの半身に麻痺が残る結果になりました。お金は十分あるにも関わらず、健康や気力を失った加藤さん。
「若い時になんでも経験しておくんだった、もっと家族のためにお金を使って楽しめばよかった」
そう思って涙しましたが、時間はどうやっても戻ってきません。
老後資金をもちろん準備することは大切ですが、過剰な不安でお金を使えなくなってしまうのも考えものです。使うお金と貯めるお金のバランスを上手にとることが大切だといえそうです。
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