節約生活の果てに、安泰の老後を手に入れた加藤さん
加藤忠さん(仮名・65歳)は長年勤めた会社を退職。同じ年の妻と共に年金生活をスタートしました。60歳時に受け取った退職金は手つかずのまま2,000万円残り、さらに貯金4,800万円、夫婦の年金は年金は月21万円です。
加藤さんは昔から貯金することを何より大切にしていました。「いざというときのために、お金はあったほうがいい。それに、年老いて身体が動かなくなったとき、お金がなかったら悲惨だぞ」……テレビの高齢者ドキュメンタリーなどを見ながら、不安を募らせるタイプでした。
そのため、大学のときからアルバイトをしたお金をコツコツ貯金。周囲は遊びにいったり旅行に行ったりしていましたが、流されることはありません。
就職をして定期的に給料が振り込まれるようになると、さらに拍車がかかります。当時、都内で一人暮らしを始めるにあたっては、会社から遠く離れた区外に家賃3万円台のアパートを借りて固定費を削減。食費は月1万5,000円程度で外食もほとんどしません。
そんな加藤さんも30代前半で結婚。妻は加藤さんの節約っぷりに引くこともありましたが、「使い過ぎる人よりはいい」と理解を示しました。共働きで自分も稼ぐので、その一部は自由に使わせてほしいと交渉し、家計管理全般を加藤さんに預けたのです。
その後、子どもを1人授かりましたが、加藤さんは子どもにかかる教育費だけは人並みに支払おうと決めていました。一方で「遊びにいくときはお金のかからない無料スポットで」「お弁当を持っていって外食にお金を使わない」など、節約の意識は持ち続けていました。もちろんマイホームもマイカーもありません。
現役時代、決して高い給料ではなかった加藤さんでしたが、子どもは大学を無事卒業。貯金も2,000万円、3,000万円……と増えていきました。しかし、お金を使うと不安になる。できるだけ貯めておきたい…もはや「お金を貯めること」が目的になり、最終的には大きな老後資金を確保したわけです。
