ペットに直接財産を遺すことはできない
Q:愛犬と一人暮らしをしています。将来自分が死んだ時、愛犬の暮らしを守るために、どんな方法があるでしょうか。
A:「負担付遺贈」と、「負担付死因贈与」、二つの方法があります。
一つは、負担付遺贈(遺贈者が受贈者に対して財産を渡す見返りに、受贈者に一定の義務を負担してもらう遺贈)です。ペットに直接財産を渡すことはできませんが、ペットの面倒を見てもらう代わりに、ペット用の貯金口座を遺言で渡すことができます。
ペットのエサ代、ペット用品、ペットの保険料、予防接種、動物病院の費用など、ある程度のペットの世話代と一緒に渡すようにしましょう。ただし、負担付遺贈を行う場合には、事前に引き取り手に承諾を得るようにしてください。遺言には書いてあるけれど、犬猫アレルギーで飼うことができない、ペット禁止のマンションに住んでいるので飼うことができない、ということもありえます。事前の承諾を得た上で遺言の形にするようにしてください。
もう一つの方法としては、負担付死因贈与があります。負担付贈与と死因贈与がセットになっていて、「私が死んだらペット用の貯金をあげる。でもペットの面倒をみてね」というものです。生前に、相手と契約を結ぶことで、相手の納得感も得やすい方法です。
銀行や信用金庫のものになってしまう「休眠口座」
Q:10万円ほど入っている古い通帳が出てきたので、子どもに贈与しました。もし気付かなかったら銀行のものになると聞いたのですが、本当ですか?
A:はい、本当です。
長い間、入金したり、引き出したりしていない銀行口座のことを「休眠口座」といいます。実は、銀行では5年間、信用金庫では10年間取引がないと、口座のお金は銀行や信用金庫のものになってしまいます。その額は、年間に800億円超と言われています。
休眠口座の中には、親が子のために貯金していたのに、子がその存在を知らず手続きができていないものも多く存在します。子どものために・・・と貯金していた名義預金が気づかれず、銀行のものとなってしまうのです。ネットバンキングの増加により、そういったケースは今後増えていくことが予想されます。
休眠口座は生前にしっかり整理する、休眠口座とならないよう少額の貯金は一つの口座にまとめておくなど、事前の対策が必要です。
東日本大震災の復興支援に・・・という声も上がっていましたが、海外では社会・福祉事業のために使われている事例が存在します。銀行に知らないうちに使われているより、困っている人への寄付に使ってもらうという休眠口座を通した寄付も検討されています。