今回は、子どもに援助した「開業資金」は贈与税の対象になるかを見ていきます。※本連載は、久野綾子税理士事務所の代表税理士・久野綾子氏の著書『相続貧乏になりたくなければ親子でこまめに贈与しましょう』(アチーブメント出版)の中から一部を抜粋し、贈与税の基本的な知識をQ&A形式で紹介します。

一般的なお祝いの金額を超えれば、贈与税の対象

Q:息子が独立開業しました。1000万円を贈与したら、贈与税はかかりますか?

A:贈与税はかかります。

 

「息子が独立! 親としてできる限りのことをしてあげたい」

親として応援したい気持ちがあるのは当然のことです。

 

息子の開業祝いで数万円を渡す。この程度であれば贈与税の非課税にあたりますが、1000万円ともなると、一般的なお祝いの金額を超えていますので、贈与税がかかります。

 

親が株主として1000万円を株(取引相場のない株式)で保有する場合は、1000万円の現金が株に変わっただけですから、贈与税はかかりません。

 

また、1000万円を息子に貸して、息子から返済してもらう形をとることで、1000万円の現金が貸付金に変わるため、贈与税はかからなくなります。ただし、株の場合でも、貸付金の場合でも、贈与税はかかりませんが、それぞれ株として、貸付金として、相続税はかかりますので注意しましょう。

借金の肩代わりに贈与税はかからない

Q:息子1000万円借金自己破産寸前。借金全額肩代わりしたら、贈与税はかかりますか?

A:贈与税はかかりません。

 

「まさか子どもにそんな額の借金があったなんて!」

 

親としてできるだけのことをしてあげたいけれど、息子にお金を渡すと贈与税がかかるのではないかと心配・・・。

 

相続税を肩代わりすると贈与税がかかりますが、自己破産寸前の息子の借金を肩代わりした時は贈与税はかかりません。なぜ、扱いに差が出てくるのでしょうか。

 

本来、借金の肩代わりは、「贈ります」「いただきます」の気持ちがなくても、形としては贈与が成立しているため贈与税がかかります。これをみなし贈与といいます。ただし、自己破産寸前といった、本人による返済が不可能なことが明らかな時の借金の肩代わりには贈与税はかからないことになっています。

本連載は、2014年11月29日刊行の書籍『相続貧乏になりたくなければ親子でこまめに贈与しましょう』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続貧乏になりたくなければ親子でこまめに贈与しましょう

相続貧乏になりたくなければ親子でこまめに贈与しましょう

久野 綾子

アチーブメント出版

2015年1月1日から始まる相続税法改正で、全国で急増する「相続貧乏」。しかし、こまめに正しい贈与を行うことで「相続貧乏」から「相続金持ち」に変わることができます。 贈与税は、年間110万円を超える金額をもらうとかかる…

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