「年金が減るなんて、そんなバカな」65歳中野さんの怒り
意気揚々と働き始めた中野さんに、ある日、日本年金機構から「年金停止」の通知が届きました。長年働いて得た年金です。仕事を続けて稼ぐとはいえ、年金は関係ない。予定の金額をまるごと受け取れると当然思っていました。
しかし、実際にはそうではありません。年金を受け取りながら給与を受け取る場合、「在職老齢年金」という制度に引っかかる場合があるのです。
在職老齢年金という名称から、「もらえるお金」というイメージをしてしまいがちですが、実はその逆です。2024年度でいえば、老齢厚生年金の基本月額(老齢基礎年金は対象外)と給与(賞与)の合計が月50万円を超えると、年金の一部もしくは全額がカットされるという仕組みなのです。
カットされる金額の計算式は以下の通りです。
「(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)×1/2」
※基本月額…老齢厚生年金(年額)を12で割った額
※総報酬月額相当額月給(標準報酬月額)に、直近1年間の賞与を12で割った額を足した額
中野さんの場合、受け取る年金は月あたり23万円で、そのうち老齢厚生年金は月16万円です。そして、新たに入社した会社から受け取る収入(総報酬月額相当額)は42万円ほどでした。
つまり、中野さんの場合は50万円を大幅に超えてしまう計算で、月4万円ほどの年金がカット(支給停止)になってしまったのです。
月4万円は決して少ない金額とはいえません。中野さんはこうぼやきます。
「前向きに働こうとしているのに、こんな制度あまりにひどくないか? 稼ぐ人だったら年なんて関係なく奪っていくのか」
しかし、いくら怒ろうとも現状の仕組みは変えられません。在職老齢年金でカットされたとしても、声をかけてくれた新しい会社に貢献したい。中野さんはそう頭を切り替えたそうです。
働き手が少ない中で「働き控え」を促進してしまうような制度ですが、高齢者が働くのが当たり前となった今、経団連は「将来的には廃止すべき」という見解を示しました。
中野さんは前向きに考えて「カットもやむなし」と結論を出しましたが、損をしたくないという場合には、在職老齢年金制度の範囲内で年金と収入のバランスを取る必要があります。65歳以降に継続して働き、ある程度の収入を見込む人は、この制度の動向をチェックしておいたほうがよいでしょう。
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