なにかの間違いでは…定年後「退職金と貯金」で〈3,800万円のマイホーム〉を買った60歳夫婦“幸せな老後”が一瞬で終了。税務署から〈約700万円の納税〉を命じられたワケ【税理士が解説】

なにかの間違いでは…定年後「退職金と貯金」で〈3,800万円のマイホーム〉を買った60歳夫婦“幸せな老後”が一瞬で終了。税務署から〈約700万円の納税〉を命じられたワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

長年「社宅」で過ごしたとある夫婦は、定年後の住まいについて考えた末、コツコツ貯めた貯金と退職金で「マイホーム」を購入することにしました。はじめての持ち家に浮かれる2人でしたが、その幸せは税務署から届いた“1通の封書”により、一瞬で崩れ去ってしまったのでした。宮路幸人税理士/CFPが具体的な事例をもとに、自宅購入時の注意点と税負担を抑えるためのポイントを紹介します。

なにかの間違いでは?…税務署からの「納税命令」に呆然

修さんが「お尋ね」を返送した後、しばらくして税務署から電話がかかってきました。

 

税務署「お送りいただいた『お尋ね』についてお伺いしたいのですが」

 

修さん「はい。なにかありましたか?」

 

税務署「不動産購入にあてた奥さまの預金2,000万円ですが、これは修さまの『名義預金』にあたります。つまり、修さまから奥さまに贈与したことになるため、贈与税の申告が必要です

 

修さん「は? いやいや、なにをワケのわからないことを。なにかの間違いでは?」

 

2,000万円に対する贈与税は、2,000万円-110万円=1,890万円×50%-250万円=695万円。なんと、695万円もの贈与税の支払いが必要になるというのです。

 

自身の名義で積み立てたのに…妻の預金が認められなかったワケ

ではなぜ、修さん夫婦は多額の贈与税を支払うハメになったのでしょうか?

 

由美子さんは住宅購入のため「自分の名義」で預金通帳を作り、その通帳にお金を積み立てていました。しかし由美子さんは専業主婦であり、給与収入はありません。よって、お金の“出どころ”が修さんのものである以上、由美子さんの資産とは認められないのです。

 

税務署からすると、名義が妻・由美子さんであっても、この預金はあくまでこのお金を得るために働いた修さんのものということになります。

 

したがって、建物の登記名義分2,000万円は、修さんから由美子さんに対する贈与であると指摘されてしまいました。

 

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<参考・出典>

・国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm)

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