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学校における二つの役割
髙宮
オンライン授業を進めていく中で、お気づきになったことはありますか?
柳沢
配信授業でも対面に引けを取らない水準で学びを進めていたことを見るに、どうやら「知育」の役割については、ある程度はオンラインでカバーできそうだということが分かりました。しかし、そのオンライン授業が、完全に対面授業に代わるものになり得たかといえば、答えは「否」です。
生徒たちは、少なからず友達と会えないことや、通常通りに対面授業が行われないことにストレスを感じていました。それは、それまで当たり前のように行われてきた対面を介したコミュニケーションが、実は学校の機能の大部分を支えていたということの証でもあるのです。
髙宮
コロナ禍によって学校の持つ役割が浮き彫りになったということですね。
柳沢
ここで分かったのは、学校には「知育」と「社会性の育成」の二つの役割があるということです。
時代をさかのぼって考えてみましょう。例えば、江戸時代に「社会性の育成」を狙っていたのは、地域のコミュニティや家族(しかも今より構成人数の多い“大”家族)でした。一方で、「知育」は、寺子屋などで知られるように、自ら先生のところへ行かなければ容易には享受できないものでした。
しかし、現代の場合は逆です。インターネットのおかげで、我々は家にいながら、さまざまな情報を得ることができるようになりました。その反面、地域とのつながりは希薄化し、加えて少子化や核家族化の影響で、同居家族の人数は著しく減少しました。
高宮 敏郎
SAPIX YOZEMI GROUP共同代表
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