2025年は“日本産業ルネッサンス元年”に
2025年はTSMCの熊本工場の稼働が始まり、日本の産業拠点としての根源的強さが再評価される元年となるだろう。日本の産業基盤の素晴らしさに驚愕したTSMC創業者のモーリス・チャン氏に見られるように、日本の生産拠点としての圧倒的強さを思い知らせる事柄が、これから続出するだろう。
図表6はハーバード大学が作成している「世界の経済複雑性ランキング」(ECI)であるが、日本が一貫して世界のナンバーワンであることに、注目するべきである。このランキングは、世界各国の輸出データに基づき、(1)輸出品の複雑性と多様性、および(2)偏在性(独占度)を評価し、順位付けしたもの。複雑性が高いほど高付加価値産業を有し、産業の多様化が進み、世界市場での独占度が高いことを示している(カリフォルニア大学サンディエゴ校ウリケ・シェーデ教授著「シン・日本の経営~悲観バイアスを排す~」日経BPで紹介されている)。
スマートフォンを例にとると、スマートフォン完成品の組み立て以上に、材料や部品、製造機械の技術的ブラックボックス部分が大きい方がランクが高くなる。日本はスマホの生産シェアは低いが、スマホの最終完成品に至る必要技術を世界で一番多く備えていると言える。「あらゆる必要なものは全部日本で揃う」ということである。
また国際的ビジネスマンにとっては今さらではあるが、(突出した異能はいないが)日本の労働力の均質性、レベルの高さ、労働に対する誠実性が抜きんでていることは、OECDによる成人力調査によっても明らかにされた(図表7)。
ビジネス拠点としての日本の優位性は、同時に半導体工場の建設が進む米国やドイツなどとの比較において、際立っていくだろう。日本が先端産業の世界的製造拠点として復活することは明らかである。日本の産業ルネッサンスはすぐそこに来ている。
武者 陵司
株式会社武者リサーチ
代表
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