老後破産へのトドメ
定年退職から8年後、長年住み慣れたマイホームのリフォーム費用が発生しました。築30年を超えた住宅は老朽化が進み、外壁塗装や水回りの修繕費用や、急な家電の故障での買い替え費用等も必要に。大きなお金が出ていってしまい、10年も経たないうちに老後資金は底を尽いてしまったのです。
「あんなにお金があったのに、これほどまですぐに失くなってしまうとは……。もう前みたいに楽しく暮らせない」と、これから死ぬまで続く味気ない日々を想像し、一郎さんは悲しくて仕方ありません。
家計を見える化する必要性
田中さん夫婦の問題は、収入と支出を見える化しないまま、無計画に老後を迎えてしまったことにあります。
特に収入の高い家庭は支出も多くなりがちで、老後に収入が年金のみとなると資産が十分にあるように見えても、田中さんのように資産を使い果たしてしまうこともあります。そのため、いくらまで使ってもいいのか予算を把握したうえで家計を管理する必要があります。
また、田中さん夫婦は公的年金を繰上げし、60歳から受け取っています。公的年金は繰上げして受け取ることができ、1ヵ月繰り上げすると0.4%ずつ減額。田中さん夫婦のように60歳から受け取りを開始すると、24%減額して受け取ることになります。リタイア後に十分な資産があり、終身年金である公的年金を減額して受け取っても余裕を持てるシミュレーションができれば60歳から受け取っても問題はないでしょう。
しかし、老後に余裕を持てるほどの資産がない、ましてやどの程度のお金が出入りしているのかが把握できていない状態では繰上げして受け取ることは避けるべきです。なににいくらお金を使っているのかを把握し、生活水準を適切に見直す必要があります。住居費や趣味、旅行費用など、退職前と同じ支出感覚で老後破産してしまう場合もあります。
また、支出を減らすだけでなく、反対に自分が望む生活を送るために退職後もなにかしら収入を得て仕事を続けるという手段もあります。自分の望む生活のために、収入と支出をどうバランスを取って現実のものにしていくほか、しっかり計画を立てて考えていきましょう。
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