過去の戦争における例
これらを踏まえ、近年に発生した戦争と金の価格変動の事例を見てみましょう。
■9.11同時多発テロとアフガニスタン戦争(2001年)
2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロは、世界中に衝撃を与えました。このテロを受けて、アメリカはアフガニスタンでの軍事行動を開始し、「テロとの戦い」を本格化させました。これにより、世界経済全体が不安定化し、金融市場にも影響が広がりました。
9.11同時多発テロ以降(2001年9月)、金の価格は急騰していることがわかります。テロ攻撃による市場の混乱と安全資産としての金への需要増加が主な要因です。その後、アフガニスタン戦争が始まり、金の価格はさらに上昇しました。
9.11テロ攻撃による不安定さは、投資家がリスク回避のために金を購入する動機となり、さらに、アフガニスタン戦争の長期化が世界経済に対する懸念を強めたのです。
■イラク戦争(2003年-2011年)
アメリカ主導のイラク戦争は、サダム・フセイン政権の崩壊を目指した軍事介入であり、長期にわたる不安定な状況を生み出しました。この戦争は、国際社会における緊張を高め、エネルギー価格の上昇や地政学的リスクの増加を引き起こしました。
こちらも、イラク戦争が始まると、金の価格は上昇を続けていることがわかります。とくに、戦争の長期化とともに地政学的リスクが増大し、金は安全資産としての需要が高まりました。
イラク戦争において、戦争開始からその後の長期的な紛争状態により、投資家は金を安全資産として求めるようになりました。
とくに、イラクはOPEC加盟国のなかでサウジアラビアにつぐ産油国であり、イラク戦争によるエネルギー市場の不安定化(原油価格の上昇)が経済全体にインフレ圧力をもたらし、これが金価格のさらなる上昇を促進しました。この期間、金の価格は安定した上昇トレンドを描いています。


