相手が合意しても要注意…離婚調停中にやってしまうと「不利」になりやすいこと【弁護士が解説】

相手が合意しても要注意…離婚調停中にやってしまうと「不利」になりやすいこと【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

離婚調停に半年ほどの期間がかかることは珍しくなく、なかには1年近い期間がかかることもあります。離婚調停が長期におよぶと、そのあいだに別居したいと考えることもあるでしょう。では、離婚調停中に別居すると調停において不利となるのでしょうか? また、離婚協議中に別居をする際は、どのような点に注意する必要があるでしょうか? 本記事では、離婚調停中の別居についてAuthense法律事務所の白谷英恵弁護士が解説します。

離婚調停中に別居する際の注意点

離婚調停中に別居する場合、どのような点に注意する必要があるでしょうか? ここでは、離婚調停中の別居に関する主な注意点を4つ解説します。

 

1.婚姻費用のやり取りが発生する

離婚調停中であっても離婚が成立していない場合は、夫婦であることに変わりありません。そのため、原則として別居期間中も相手とのあいだに婚姻費用のやり取りが発生します。夫婦にはお互いに生活扶助義務を負っており、相手に自分と同等レベルの生活を送らせる義務があります。

 

これを体現したものが婚姻費用であり、「婚姻費用には、衣食住の費用のほか、出産費、医療費、未成熟子の養育費、教育費、相当の交際費などのおよそ夫婦が生活していくために必要な費用が含まれる」とされています

 

婚姻費用の具体的な額は話し合いで決めることが原則であるものの、話し合いがまとまらない場合は調停や審判(調停がまとまらない場合に裁判所が結論を下すこと)によって定めます。そのため、夫婦のうち収入が少ない側は、別居をするにあたって婚姻費用の請求を忘れないよう注意が必要です。夫婦のうち収入が多い側は、調停における争点を増やさないためにも、別居にあたっては一定額の婚姻費用を渡すとよいでしょう。

 

2.相手に無断で子どもを連れていくと…

未成年の子どもがいる場合、別居するにあたって夫婦の一方が子どもを連れていくことがあります。夫婦間の合意によって子どもを連れていく場合は問題がない一方で、相手に無断で子どもを連れて別居に至った場合は子の引渡し調停を申し立てられ、子どもを元に戻すよう請求される可能性があります。

 

また、配偶者と居住しており、自分とは別居していた子どもを待ち伏せして連れ去ったり別居している配偶者の居宅に侵入して子どもを連れ去ったりした場合は、未成年者略取等罪に該当するリスクもあります(刑法224条)。

 

そのため、子どもを連れて別居する場合は、できるだけ相手と合意することが望ましいといえます。相手と合意できない場合や、相手による虐待やDVなどから逃れるために子どもとともに別居したい場合は、あらかじめ弁護士へ相談したほうがよいでしょう。また、配偶者が子どもを連れ去ってしまった場合であっても子どもを待ち伏せするなどして強制的に連れ戻すことなどは避け、弁護士へ相談することを勧めます。

 

3.別居中でも子どもとの面会交流は認められる

離婚が正式に成立する前であっても、子どもともう一方の親との面会交流は認められることが原則です。正当な理由がないにもかかわらず、面会交流を拒んだり妨害したりした場合は、親権の判断において不利となる場合があります。

 

4.別居中でも第三者との交際は避ける

たとえ離婚調停中に別居をした場合あっても、正式に離婚が成立していない以上は、相手と夫婦であることに変わりはありません。そのため、離婚調停中に配偶者以外の人と交際したり、交際を疑われるような言動をしたりすることは避けましょう。

 

正式に離婚が成立する前に配偶者以外の人と交際した場合、自分が離婚を請求する側であれば、有責配偶者として離婚請求が認められなくなる可能性があるためです。相手から慰謝料請求をされる可能性や、相手に請求できたはずの慰謝料が大きく減額される可能性も否定できません。たとえ別居したとしても、相手と正式に離婚するまでは、配偶者以外の人との交際は控えましょう。

 

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