(※写真はイメージです/PIXTA)

定年間近の夫と暮らす潤子さん(55歳)。進学した大学のある地域で就職した娘は、離れたところで生活しています。夫と老後生活をどう送ろうかと話していた矢先、娘から「自己破産をすることになった」という連絡がきました。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、こどもが自己破産した場合の「親への影響」や「親としてできること」について解説します。

娘から電話口で伝えられた「自己破産」の四文字

地方で暮らしている潤子さんのもとに娘の彩花さん(25歳)から電話があったのは、彩花さんが就職して3年ほど経ったときでした。普段は必要なときにLINEでやり取りするくらいだったため、突然電話があったときには「なにかあったのかな?」と思わずにはいられませんでした。

 

電話に出ると、彩花さんからは「どうしよう。自己破産することになってしまった」とのこと。なぜ自己破産にまで陥ることになってしまったのか理由を聞くと、「推し活にお金がかかって……。ごめんなさいごめんなさい」と言うばかりです。

推し活とは

最近「推し活」という言葉をよく聞くようになりました。推し活とは、自分が好きなアイドルやアニメのキャラクターなどを応援することで、具体的にはCDやライブグッズの購入のほか、ライブに参加するために遠くまで遠征したり、出演していたドラマや映画の撮影地を回ったりすることが挙げられます。

 

しかし、彩花さんは働いている身ですし、ある程度の収入はあるはずです。なぜ、自己破産という結果を招くことになったのでしょうか。

 

彩花さんは学生時代からあるアイドルグループが好きになり、密かにグッズを買ったりしていたのですが、社会人になって収入が得られるようになったことから、CDやグッズ、推しが掲載されている雑誌などを2つずつ購入するようになりました。

 

つまり、観賞用と保存用です。人気が出るにつれ雑誌の掲載頻度やCDの発売頻度も多くなり、また、定期的に行われるライブも積極的に参加するように。

 

ライブにはすべて申し込み、当選した場所が遠くても、飛行機やホテル代を使ってライブに行く生活が続いていたそうです。ただ、遠くのライブだと遠征費用だけで10万円を超えることも珍しくありません。せっかくだからと観光してくることもありました。

 

就職して3年目だとまだ手取りはそこまで多くありません。そのため、彩花さんは足りない部分はカードローンを利用してお金を借り、給料日に返済を続けていました。ただ、カードローンには最初から限度額が決まっており、それ以上を借りることはできません。

 

そのため、さらに不足する額についてはクレジットカードのキャッシングを利用し、補塡していたといいます。

 

もともとカードローンの返済もあるのに、加えてクレジットカードのキャッシングなどを利用していてはいつまでたっても返せるはずがありません。

 

カードローン会社やクレジットカード会社から督促状が来ても、ボーナスで何とかしようと考えていました。しかし、彩花さんの借金額はボーナスで払える額ではなくなっていたのです。彩花さんは友達の父親が弁護士だったため、どうすればいいか相談したところ金額的にも自己破産するしかないのではないかという回答でした。

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