名義預金とみなされないための対処法
名義預金を申告していなかったことが税務調査で発覚した場合、申告の不備に対するペナルティがあるほか、納税の遅れに対して延滞税も納めなければならなくなります。
では、受け取った預金が名義預金とならないためにはどのようにすればよいのでしょうか。ここでは、相続税の課税対象となる名義預金とみなされないための対処法を説明していきます。
贈与契約書を作成する
贈与は口約束でも成立しますが、税務調査が入った場合に贈与があったことを客観的に証明するのが難しいため、贈与契約書を作成するのが望ましいです。
贈与契約書とは、財産を贈与する際に、贈与する側と贈与される側とで作成する契約書をいい、契約書には贈与額や贈与する方法、そして贈与した日付などが記載されます。
贈与契約書があれば、財産を渡す側と、財産を受け取る側の意思表示を明確化できるため、名義預金と認定されない可能性が高くなるでしょう。
贈与税申告をする
必要に応じて贈与税申告をすることも有効です。
1月1日から12月31日までに贈与された財産の金額が110万円を超える場合は贈与税がかかるため、贈与を受けた人の贈与財産が110万円を上回るときは、贈与税を申告してもらうようにしましょう。
贈与税申告をすれば、税務署に贈与の事実を認めてもらえ、名義預金とは疑われにくくなります。
贈与税申告は、財産が贈与された翌年の2月1日〜3月15日に申告書を提出する必要があるため、忘れずに準備するようにしてください。
銀行振込にする
贈与財産の受け渡しは現金手渡しにせず、銀行振込で行って資産が移動したことを客観的な証拠として残るようにするのがおすすめです。
お金のやり取りに銀行振り込みを利用すれば、贈与した人とされた人それぞれに記録として残るため、贈与契約書の通りに生前贈与が行われたと証明することができます。
ただし、記帳せず何度も振込をしたり、キャッシュカードを使っていたりすると、証跡がわからなくなるので、通帳はこまめに記帳するのが望ましいです。
贈与を受けた人が通帳や印鑑を管理する
名義預金だとみなされないためには、名義人自身が通帳や印鑑、キャッシュカードなどを管理・保管していることが重要です。
贈与を受けた人がその預金口座を管理しており、預金を自由に使用できる状況だったという証拠となります。
子どもや孫が無駄遣いしないよう、贈与した親や祖父母が通帳や印鑑を管理しているケースが多く見られますが、この場合は贈与を受けた人が預金を管理していないことになり、名義預金とみなされる可能性が高いので、注意しましょう。
贈与された預金口座を使っておく
生前贈与の条件を満たしていたとしても、入金のみで出金のない預金口座は名義預金を疑われやすくなります。そのため、贈与を受けた人がその預金を使っておくようにしましょう。
とはいえ、無理に使う必要はなく、家賃や電話料金、公共料金などの引き落とし口座に設定するなど、生活に必要な経費の支払いなどに利用すると無駄にならず、出金の実績を作ることもできるのでおすすめです。
相続に詳しい税理士に相談する
相続税の税務調査が入った際に、名義預金であると判断されると追徴課税だけでなく加算税や延滞税も課され、相続人の負担が大きくなってしまうため、名義預金と判断されないように先述した方法を試すようにしましょう。
しかし、名義預金と判断されるかわからない、名義預金があるがどうすればよいのかわからないといった場合には、相続問題に強みを持つ税理士に相談するのがおすすめです。
名義預金の問題を解消するだけでなく、相続税対策についても助言も受けられるため、相続に関するさまざまな悩みを解決できるでしょう。