(※写真はイメージです/PIXTA)

嫁姑問題はいつの時代も起きてしまうものです。そして、それは一生引きずってしまい相続の問題になることも……。本記事では、田村さん(仮名)の事例とともに、相続トラブルについてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

嫁に財産は渡るのか?

田村さんがいま亡くなった場合、法定相続人は長男と次男のみです。もしこのままなにもしなければ、自分の財産は長男と次男へ均等に受け継がれることになり、早苗さんには渡ることはないということでした。

 

ひとまず安心はしましたが、是が非でも早苗さんに財産を渡したくなかった田村さんは、次男に財産が渡ったあとで次男が他界するような場合にはどうなるのか。先の先まで心配になります。

 

弁護士からは長男や孫に遺言書で全財産を渡すように遺言書を書くなど、祐希さんに財産が渡らなくなれば、早苗さんには渡らないようにすることはできるとのことでした。一方で、自宅には次男が住んでいる状況で、次男には財産を渡してあげたい田村さんにとっては不本意なことです。

 

そこで、次男に早苗さんに財産が渡らないように内容の遺言書を書かせれば大丈夫と考え、祐希さんに打診をしました。しかし、祐希さんからは当然断られてしまいます。

 

「なんとか憎き嫁に財産を渡さないようにできないだろうか……」そんなことを考えながら特段の対策もないまま、風邪をこじらせ肺炎になってしまったことから入院し寝たきりとなり、それをきっかけに身体が衰弱してしまいこの世を去ったのでした。

 

結果、田村さんの財産は兄弟でわけられることになり、田村さんは嫁に資産が渡ってしまう不安を抱えたままこの世を去ることになってしまったのでした。

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「誰に渡したくない」ではなく「誰にどう渡したい」か

今回の田村さんの希望を叶えようとすると、条件としては次男に納得してもらい遺言書を書いてもらうことや、長男や孫にすべての財産を渡す旨の遺言書を書くなど、結果的に次男に財産が渡らないような対策等が選択肢としてはあります。しかし、いずれもベストな対策とはいえないものでしょう。できるだけ早苗さんに渡る財産を減らす方法として、現預金は孫に遺言を残したり生命保険で残したり、次男に渡る金融資産を減らすことが挙げられます。

 

早苗さんへの憎しみのあまり遺産を渡さないように執着してしまっていましたが、それに執着するのではなく、一度自分の感情の整理をし、家族で話をしてみることが必要でした。

 

そもそも、今回の嫁姑間の確執の原因は田村さんにも責任があるものです。早苗さんの態度の根本は同居を開始した当初に早苗さんに対しての態度が原因となっているものです。ここまでこじれてしまったのはもとの関係性が問題です。まずは自分の非をしっかり謝罪して、嫌々ながらも介護をしてくれてる点については感謝すべきでしょう。

 

家族間だけで話をすると感情的になりむしろ関係性をこじらせてしまうこともあるため、相続についての知識を持つ第三者を挟むなどで話をすることで、わだかまりを少しずつ解くことができます。「嫁に渡したくない」ではなく「誰にどう渡したいか?」という観点で遺産分割について考え、それに対して法的な対策を取ることが必要です。

 

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