自治体が独自にLGBTQカップルに対して「結婚に相当する関係」と証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする「パートナーシップ制度」。日本では、2015年に東京の渋谷区と世田谷区で施行され、いまでは人口の80%をカバーするともいわれています。このような動きもあり、法的には認められないものの、「同性同士の結婚」については広く知られるようになりました。しかし「同性同士のカップルが子供を育てる」ということについては、どれくらいの人が具体的にイメージできているでしょうか。今回、子育てに奮闘するゲイカップルから、「同性カップルの結婚」、その先にある「同性カップルの子育て」について考えていきます。

「子供がほしい」というお互いの想いを叶える

同性カップルといっても、結婚を望むカップルもいれば、結婚を望まないカップルもいます。同じように、子供を望むか望まないかもカップルによって異なります。ふたりの場合、子供のことを考え始めたのは実は結婚式を挙げるよりもずっと前のことだったとか。
 

貴文「いつか自分も家族をつくりたいと考えていた、と言いましたが、イメージする家族像には子供の姿もあって。だから将来的に子供がほしいという考えに至るのは、自然なことだったと思います」

 

隼人「Instagramには、海外のGay fatherが子供との幸せそうな写真をよく載せているんです。これにはすごく衝撃を受けましたね。海外では子育てをするゲイカップルが普通にいる……そんな姿に、すごく希望をもてたことを覚えています」

 

共に子供がほしいと考えていることを確認し合ったふたりでしたが、ここは日本。ゲイカップルがどのようにすれば子供を授かることができるのか、当時はまったくといっていいほど情報はありませんでした。

 

貴文「里親制度についても調べたり勉強会に参加したりしたのですが、当時はいまよりもさらにハードルが高くて。海外で代理出産を行う方法も知られていましたが、トラブルが多かったり、そもそも費用がすごく高かったり。ゲイ同士で子供を授かることの難しさを痛感していたころでした」

 

そんなとき、ブログで「子供がほしい」と綴ったところ、数組の女性同士のカップルからメッセージが届きました。そこからお互いに協力をし合うことを模索し始めたといいます。

 

隼人「カップルによって考え方は違うので、丁寧に話し合いを重ねて、子供に対する考え方や子育てに対する考え方などが最も私たちに近い方と協力し合うことになったんです」

 

ゲイカップルだけど子供がほしい……結婚に対しては理解があった家族も、子供となるとまた違ったようです。

 

隼人「母からは『母親の愛情を知らない子供は可哀そう、絶対に不幸になる』と大反対されました。貴文のお母さんも最初は反対だったよね」

 

貴文「そうだね」

 

隼人「母の反対を受けて、『じゃあ、母親がいる子供はみんな幸せなの? そうじゃないよね。幸せかどうか決めるのは親じゃなくて子供だよ』などと大喧嘩になりました。最終的に母の言うことは気にせずに突き進むことにしたんです。でも子供が生まれたら、あんなに反対していた母も態度をコロリと変えて、いまでは、娘の一番のファンです(笑)」

 

――好きな人と家族になりたい、そして家族をつくりたい

 

世の中の多くのカップルが願うことを、貴文さん・隼人さんも叶えました。ふたりが子供をもつ選択をしたことは、なんら特別なことではなく、ごく自然な想いによるものだったのです。

 

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