会社員に比べて自営業者の老後が厳しいとは限らない
老後に必要な生活費を考える際、老後には2,000万円が必要という、いわゆる「2,000万円問題」を気にされる方もいるでしょう。この根拠をご説明すると、老後の生活費が毎月25万円必要だという統計があり、厚生年金の平均額月15万円から引くと毎月10万円不足することになります。その不足金額を65歳から85歳まで20年間で合計した結果、2,400万円が不足するという計算が基になっています。
厚生年金額が計算のベースにあることからもわかる通り、老後2,000万円問題というのは会社員の話になります。では、今回のご相談者のようにフリーランスの場合はどうなるのでしょうか?
まず、老後の生活費が先ほどの例のとおり毎月25万円かかると考えると、ご相談者のように国民年金が5万円しかもらえない場合には毎月20万円不足することになります。単純に65歳から85歳まで20年間で合計すると、4,800万円が不足します。
しかし、フリーランスは会社員と違って60歳や65歳で退職することを考える必要はありません。自分が働ける限り働き、その分稼ぐことができるという強みがあります。そして、自営業者の場合は経費の範囲が増えることで所得税・住民税の支払い額が減るはずです。
すると、その分を貯蓄や投資に回すことができます。よって一概に会社員より老後生活が厳しくなるというわけではないということは、理解しておくとよいでしょう。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
★老齢基礎年金の基本知識はこちらをチェック
【老齢基礎年金】受給要件や年金額は?付加年金まで【FP3級】
★年金にかかる税気についてはこちらをチェック
【年金と税金】年金受給と税金を網羅!不安を完全解消します【FP3級】
岸田康雄氏 登壇セミナー>>12/18開催
「相続手続き」完全マスター講座
~相続人調査、財産調査、遺産分割協議~
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】