※画像はイメージです/PIXTA

年内にマイホームを購入したい家族や、お得な価格で物件を探している投資家たちが活発に動く、不動産業界「繁忙期」に突入しました。今回はそんな繁忙期における、売り手・買い手の葛藤についてお届けします。※本記事では、ニュージーランドのオークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。

繁忙期に登場する「バーゲンハンター」

現在、私が暮らすニュージーランドでは、年内にマイホームを購入したい家族や、お得な価格で物件を探している投資家たちが活発に動いています。そのため私たちも、週末はオープンホームを開催し、平日の内覧希望者も多く、昼夜を問わず電話が鳴り続ける日々を送っています。

 

繁忙期に特徴的なのは、「バーゲンハンター」と呼ばれる買主です。彼らは、何らかの理由で家主が急いで売却したい物件を探し、市場価格より安く購入できるケースを狙って、明確な値段志向で問い合わせをしてきます。また、実際に物件を見学して、「ここがこうだから、もう少し安くならないか」など、具体的に指摘してくる買主も増えてきました。

 

以前からそういった人はいましたが、最近は多くの買主が、家主の購入価格や、賃貸運用をしていた投資家か、自己所有者だったかなど、公開されているデータを研究して、価格交渉をしてくる傾向が強まっています。

 

子育て世帯は、お子さんの学区を気にしながら物件を探しています。自分たちの予算とも相談しながら購入しなければならないので、綿密に資料を見て、データ分析をしてくる買い手の人が目立つようになっていると感じます。

 

私たちも、言われるままにしていては、売却価格が伸びないので、強気で交渉する必要があります。

 

20年近く前に建設された投資用住宅地があります。ほぼ同じ間取りとデザインで建設されているため、家の基本的な価値には、ほとんど差がありません。しかし、内装の改装状況や、日当たりのよさ、庭の手入れ具合によって、微妙に価格帯が変化します。

 

一つ例をあげると、私たちが担当する物件の近隣に、一ヵ月早く販売が開始された物件がありました。私たちの物件にも購入希望者が現れ、価格交渉が始まると、この近隣の物件が先に売れて価格が一般公開されていたため、買主たちはその金額を参考に交渉を始めました。

 

しかしながら、私たちが担当する物件は、先に売れた家よりも、土地が狭く、レイアウトも若干異なりました。また、先方の家のほうが、リビングも広く、庭の手入れもされているようでした。そのため、買主たちは低い価格でオファーを出そうとします。我々が目指す金額より、2~3万ドル低い値段でした。この状況をどう説得、交渉すべきでしょうか? 

 

もしこの近隣物件の一般公開がなければ、予定通りの価格帯で売れる可能性が高かったのです。買い手も必死ですので、「あの家よりどうして、高いのか」と言ってきます。

 

しかし、家主の希望はさまざまで、購入された時期も異なるため、それぞれ希望する価値観が異なります。私たちも、家の位置関係や日当たりの面でもこちらが良い物件であると信じていました。そのため、「そうですか、あなたの言う通りですね。価格を下げましょう」などと言っていては商売になりません。買い手の購入希望の度合いを探りつつ、この人との交渉が不成立となった場合の、次の買い手の可能性も考えつつ交渉を進めていきました。

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