(※写真はイメージです/PIXTA)

内閣府発表の『令和6年版 高齢社会白書』、厚生労働省発表の『2022年 国民生活基礎調査の概況』などの調査結果とともに、世界で最も高齢化率の高い日本における「介護の実情」についてみていきます。

誰が介護するのか…要介護5「ほとんど終日」は「半数超」

介護のシーンではお金以上に「時間」も深刻な問題となります。厚生労働省の『2022年 国民生活基礎調査の概況』によると、介護にかける時間は「ほとんど終日」が19.0%、「半日程度」が11.1%、「2~3時間程度」が10.9%。また、要介護4では41.2%、要介護5では63.1%が「ほとんど終日」と回答しています。

 

終日介護に追われるような生活だと、介護者は趣味・娯楽を諦めることはもちろん、仕事を続けることすら難しくなってしまいます。

 

そこで発生するのが「誰が介護するのか」という問題です。

 

同調査によると、主な介護者は、「同居」が一番多く45.9%。内訳は「配偶者」22.9%、「子」16.2%、「子の配偶者」5.4%、「父母」0.1%となっています。次いで「事業者」15.7%、「別居の家族等」11.8%です。

 

平均寿命も健康寿命も2001年から緩やかな上昇傾向にある日本社会。高齢化率は28.6%と、世界でも高水準の高齢化率を長い間キープしています。

 

健康寿命と平均寿命の差は2004年以降、年々少しずつ短くなっているとはいえ、いつまでも健康でいられるとは限りません。

 

今後、平均寿命と健康寿命の差が縮まっていったとしても、「人生100年時代」である以上、介護問題の深刻化は避けられないでしょう。年金を含め老後資金への心配も増すなか、国民全体に老後への不安は募っています。

 

介護する側、される側。双方の負担を減らす仕組みづくりが求められています。個人や家庭にすべてを任せるのは難しいもの。介護者の経済的・心理的負担の軽減や、適切な介護サービスの提供体制の充実が、安心して老後を迎えるために欠かせません。家族介護の現実と限界を認識し、地域社会や政府、民間が協力して支え合う仕組みが求められます。

 

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