本人と家族――告知はどちらが先行しても問題が
一方で患者さんから「先生、私は癌ですか?」と聞かれることがあります。当時から私には「真実を知りたいと言う患者さんには、伝えるべきである」という思いがあったので、真実をお伝えしていました。また、告知を受けた方のなかには「家族には言わないでくれ」という場合があります。そうした申し出をする患者さんは「家族に心配かけたくないから…(言わないでほしい)」という思いでいるのです。
患者本人の意思を尊重することは大切です。ですが、もしご家族に告知しないまま癌が進行してご逝去されたときに、ご家族から「何で言ってくれなかったんですか? 訴えますよ」と言われてしまうような事態に発展する可能性があるわけです。本人と家族、告知はどちらが先行しても問題があるという苦しい状態にありました。
そのため、私はあるときを境に、病名がわかった段階で本人と家族を同じ部屋に呼んで、同時に告知を行うことにしました。
「残された人生をどう過ごしたいか」という問いの誕生
こうした方法が広まったことで、患者さんのなかで「自分は手術や抗がん剤で戦っても、余命いくばくもない。ならば、病院にいることもないだろう」と考える人が増えたのです。
こうした流れは死生観の変化を促しました。人生の残された時間、リミットを知ることで「(残りの人生を)どう過ごしたいか」という問いが生まれたためです。ある人は「住み慣れた我が家で過ごしたい」と思い、ある人は「病院で過ごしたい」と考える、といった選択肢をもつことができます。
昨今の死生観には「患者本人に病名や病状、死期についてそのままお話しするという」という告知方法が、大きな影響を及ぼしていることは間違いないと考えています。こうして生まれた死生観の変化が現在、在宅医療が求められてきている背景にあるのです。
野末 睦
医師、医療法人 あい友会 理事長
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!
【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】