医師、訪問介護士、葬儀業者…開かれた介護施設が介護の〈よい循環〉を生むと言えるワケ【介護施設経営者に聞く】

医師、訪問介護士、葬儀業者…開かれた介護施設が介護の〈よい循環〉を生むと言えるワケ【介護施設経営者に聞く】
(※写真はイメージです/PIXTA)

介護サービスは、高齢者の尊厳を守り、自立した生活を支援することを目的としています。しかし、それは利用者を健康面から支えてくれる地域の医療機関はもちろんのこと、行政や金融機関、ボランティアで支えてくれる地域の人たちとの連携があってこそ、実現できるのです。本記事では、デイ・サービスかなりやの代表取締役である久野佳子氏の著書『職員・利用者・地域を結ぶ ひとつなぎの介護施設』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、地域や医療との連携強化の事例についてご紹介します。

地域を巻き込んだイベントの実施で連携を強化

かなりやでは、近所の人を交えた介護関連イベントを実施し、交流を深めています。

 

例えば、従業員である娘が長年電子オルガンを習っているので、その先生と一緒に音楽に関連したイベントをやろうと企画しています。職員一同、チラシを手作りして、いろいろな機会で配り、宣伝しています。ご近所の人をはじめ、デイサービスやサ高住の利用者家族やお世話になっているケアマネ、付き合いのある業者などさまざまな人が施設に来てくれるきっかけになっています。

 

このほかにも、地域のボランティアによる紙芝居や、折り紙教室など、さまざまなイベントを開催しています。こうした交流を通じて縁が深まり、施設にさまざまな形で関わるようになってくれる人たちもいます。

 

現在管理者として責任のある立場を担っている20代の女性職員は、実はこうしたイベントを通じて、お父さんと一緒に施設に遊びに来てくれたのがスタートでした。

 

そこで、介護という仕事について知り、また、かなりやを気に入ってくれ「ここで働きたい」と就職してくれたのです。彼女はとてもやる気に満ち溢れ、人を和やかにさせてくれるコミュニケーションができる稀有な人材で、施設にとっても、とてもいい縁となりました。

 

このように、地域社会に開いていくことは、地域の介護施設への理解を高め、ひいては人材の獲得にもつながるのです。

 

また、私の母を題材にした歌を作ってくれた人も、実はもともと防災点検業者として施設に来てくれた人だったのです。今では、かなりやにもボランティアで歌いに来てくれますし、全国のあちこちの介護施設でも私の母を題材にした歌を歌ってくれています。

 

母について、また人と人とのつながりについて、わかりやすく歌で啓発してくれることは、かなりやにとってとても喜ばしいことですし、介護業界全体にとっても素晴らしい試みだと思っています。これからも歌い続けてくれればいいなと思っています。

 

次ページ医療との連携強化で質の高いサービスを実現

※本連載は、久野佳子氏の著書『職員・利用者・地域を結ぶ ひとつなぎの介護施設』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

職員・利用者・地域を結ぶ ひとつなぎの介護施設

職員・利用者・地域を結ぶ ひとつなぎの介護施設

久野 佳子

幻冬舎メディアコンサルティング

人と人、心と心をつなぐ、介護施設の新しいかたち 利用者・職員・地域から愛される介護施設に学ぶ、絆を大切にする運営とは? 超高齢社会を迎える日本において、介護の重要性はますます高まっています。しかし、介護業界…

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