職員が正直に気持ちを伝えられる環境が必須
職員が長く心地よく働き続けられるための職場環境を整えるためには、まず職員間のコミュニケーションが活発で、職員が老いも若きも言いたいことを言い合える環境が求められると考えています。
しかし、一般の介護施設現場では、なかなか職員間のコミュニケーションの増進ができず、悩みを抱えている介護事業者は多いと感じています。これには介護職独特の事情があります。
昨今は人手不足もあり、従業員の高齢化が進み、ベテランの職員は70代、80代も少なくありません。いわば2世代ほどのジェネレーションギャップもあるなかで、孫のような世代である10代、20代の職員ともスムーズにコミュニケーションをとっていかなくてはなりません。
核家族化が進み、高齢の人と話すらしたことのない若い人もおり、いかに若手にとってもベテランにとってもストレスなく働ける環境を作るのかは、介護経営者にとって共通の課題かと思います。
ただ、よくありがちなのが、先輩やベテランが若手に歩み寄らずに、考えを押し付けてしまうことです。こうした高圧的な態度は、若手職員の離職にもつながります。ベテランも嫌な思いをせず、かつ若手ものびのび働けるような関係性を作り上げることが何より重要なのです。
これは介護の現場に限った話ではありません。ある職員は、今は同じ介護施設で働いてくれていますが、かつては保育園で保育士として働いていました。その施設は決してコミュニケーションが取れていない施設ではありませんでしたが、時に上司の気分次第では話を聞いてもらえないような雰囲気があり、意見を言うのを諦めてしまうようなこともあったそうです。
保育と介護という違いはありますが、職員が正直に思っていることを伝えることができ、それをきちんと受け止めてもらえるという安心感のある職場でなければ、長く働くことは難しいと思います。
さらには、昨今では、人材不足解消のために、外国人人材の登用も進んでいます。かなりやにも長く働いてくれている外国籍の人がいますが、互いにとってより良い関係性を築くためには、コミュニケーション上の工夫が必要だと感じています。
先日も地域の介護施設の会合に参加した際に、ほかの施設から、なぜかなりやは離職率を低く抑えられているのか、と尋ねられました。やはりほかの施設の人は、特に若手がすぐに辞めてしまい、人材不足に悩んでいるようでした。
私としては特に離職を防ぐために何かを意図的にやっているわけではないので、ほかの施設の人と話しながら考えていたのですが、仕事中に困ったことをすぐに報告や相談ができる環境があるかどうかが、非常に重要なのだと気づきました。