パソコン買い替えサイクル始動、価格が高水準に
価格分析ツールなどを運営するオークファンによると、2024年7~9月期の中古パソコンの平均販売単価は前年同期比で5.8%上昇した。
上昇は2ヵ月連続で、上昇幅は22年1~3月期(7.2%上昇)以来の高水準だった。平均販売単価は1万7,781円。24年度からはコロナ禍で導入したパソコンの買い替えサイクルが出始めているとされる。物価の上昇傾向も受けて、中古パソコンの価格は新型コロナウイルスの感染拡大による在宅勤務特需の反動から脱したといえそうだ。中古スマートフォン(スマホ)の平均販売価格も3四半期ぶりに上昇に転じた。
中古パソコンの取引で「最高額は60万円」
ヤフーオークション(ヤフオク)などのサイトの個人や企業の売買が成立した価格を蓄積している。4~6月期は中古パソコンで約21万2000件(平均販売価格を含めてヤフオクのみの集計)の取引があった。売買が成立した中古パソコンのうち、最も高額だったのは60万円、2番目は56万5,000円だった。
中古パソコンは一度誰かの手に渡り、中古市場に流れてきたパソコンのこと。①新品に比べて安価に購入できる②現在流通していないパソコンを購入できる③余計なアプリケーションが入っていない──といったメリットがあり、市場規模は1,000億円以上との見方もある。
一方で、①バッテリーが劣化している可能性がある②メーカーの保証を受けられない──などのデメリットもあるとされ、購入に慎重な人も少なくない。
中古スマホ価格、小幅高ながらも反転の兆しか
4~6月期の中古スマホの平均販売価格は前年同期に比べて0.6%上昇し、2万2,448円だった。上昇するのは3四半期ぶり。23年10~12月期まで10四半期連続で価格が上昇していたため、その反動で今回の価格上昇幅は小さく、ほぼ横ばいだった。4~6月期は、中古スマホで約7万1000件の取引があった(平均販売価格を含めてヤフオクのみの集計)。
新品スマホの値上げや実質賃金の下落などを背景に、中古スマートフォンの需要は増えている。用途に応じて複数の端末を使い分ける人も増え、訪日外国人による購入も中古市場の拡大をけん引している。国内外で消費者物価指数の上昇が続いていることも価格を後押ししている。中古スマホの価格が7~9月期に小幅ながらも上昇したことは相場に反転の兆しが見えてきたともいえる。
中古パソコンとスマートフォンの市場は、物価上昇や需要の変化により回復の兆しを見せている。今後も経済情勢や消費者のニーズに左右されるため、需要や供給の変化によって市場の成長が続くかどうかを慎重に見守る必要がある。
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