妻との食事は箸で食べ物を口に運ぶだけの“作業”です…定年後、家に居場所がない年金月27万円の65歳元高校教師、時間潰しの「新潟のフードコート」で目撃「高齢者たちのモラルを疑う光景」【FPが解説】

妻との食事は箸で食べ物を口に運ぶだけの“作業”です…定年後、家に居場所がない年金月27万円の65歳元高校教師、時間潰しの「新潟のフードコート」で目撃「高齢者たちのモラルを疑う光景」【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後、これまで仕事では苦労ばかりだったからと、老後はゆっくり楽しもう……という人も多いものの、一方で「ずっとなにもせず家にいるだけの存在」になってしまうケースは珍しくありません。そんな人たちの行きつく先とは? 本記事では、矢崎さん(仮名)の事例とともに、年金生活の現実についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

日本の公的年金は「長生きのための保険」

日本の高齢者の多くは、限られた年金で生活を切り詰める現実に直面しています。矢崎さんのように比較的恵まれた年金を受け取り、まだ生活に余裕を持てる人も、先行きを不安に感じ、できるだけお金を使わないようにしながら生活する人もいます。

 

そんなシニアにとって、フードコートや公園といった場所が「無料で時間を潰せる居場所」として機能するようになり、お金をかけずに安心して過ごせる場所となっているケースもあります。また、単に節約だけでなく何気ない会話ができるコミュニケーションの場としても機能しているようです。

 

日本の公的年金はよく勘違いされがちなのですが、「豊かな老後を送るため」にある制度ではなく、「長生きのための保険」であり、人並みな生活を送ることができる制度ではありません。そのため多くの人は、公的年金だけでは自分が望む水準の生活を送ることが難しく、当然自助努力が必要となります。

 

自分が受け取ることができる公的年金の金額や制度のことを知り、そのうえで自分はリタイア後に自分はどのような生活を送りたいかを考えて資金計画を考えることが大切です。老後を迎える前に具体的な将来像をイメージし、それを実現するために必要なものがお金です。限られた収入の範囲で節約の工夫をすることも大事ですが、自分が望む生活のためにリタイア後もなにかしらの仕事をしながら収入を得たり、公的年金を繰り下げて受給額を増やしたりすることで、ゆとりを持った生活を送ることも可能です。

 

また、リタイア後に生きがいや好きなことを見つけることも大事です。趣味でもいいですし、短時間だけで負担が少ない仕事をしたり、ボランティア活動で自分が存在する意義を実感できたりすることで精神面の豊かさを得ることもできるでしょう。

 

なかなか現役のころにゆっくり考える機会はありませんが、自分の価値観と向き合いながら、そういった自分のありたい姿をイメージし、そのための資金計画を考えることがライフプランニングです。リタイア期を迎える前に、どんな老後を送りたいのか、どんな自分で在りたいのか、誰となにをして過ごしたいのかをイメージし、それを実現するために計画を立てられることが望ましいでしょう。より満足度の高いリタイア後の生活を送ることができるのではないでしょうか。

 

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