今回は、「バブル時代」と現代の不動産売買の違いについて、著者の体験談を見ていきます。※本連載は、株式会社OKAMURA代表取締役、岡村恭資氏の著書『なりたい人だけが資産家になれる―やれば儲かる不動産の取得と売却方法教えます』(風詠社)の中から一部を抜粋し、投資用不動産の取得と売却について実践的な方法を紹介していきます。

『地下をうろうろするな』という言葉の意味

以下は、皆様の参考になればと考え、私が今まで経験・体験してきたことを「エピソード」として、思いつくままに記したものです。

 

私が、最初に従事した企業の代表者はどんな時も現場を自分で踏むことを怠りませんでした。時間がなくても夜中の0時であっても土地を見に行くので、案内するときに下見をしておくのは当然です。

 

彼が折に触れて言った言葉の一つに『地下をうろうろするな』というのがありました。東京の物件を買い付ける場合、地下鉄で移動していては、どういう周辺環境や動線上にあるかとか人の動きと交通状況などを理解できないだろうという理由でした。

 

ですから、東京出張時、移動はすべてタクシーを使うことになっていました。レンタカーも駄目でした、それは、自分で運転すると詳細を観察できないからです。ホテルも超一流のホテルを見てくるという内規があって、それで地方の不動産屋の従業員たちが泊まるようなレベルではない部屋を調査できました。

 

三十年後の今でも値段でホテルを決めることなく、逆に最高のホテルを見て歩くようにしています。経費の使い方を間違うと効果が半減します。うまく使えば三十年後でも話のネタにできるでしょう。

 

もしあの時、安宿に泊まっていたなら、どこに泊まったかさえ忘れたかもしれません。人生の過ごし方というのは、その人の価値判断がどこにあるかを的確に見せてくれますし、勿論この本をご覧になってさらには不動産道に興味をもたれる、あなたには一流の道を歩いていただきたいと切に願うところです。

目ぼしい土地を買い、「地価本」で価格をさらに調整!?

そして立地を考えた投資など今は意味がありません。昔は立地という条件が重要でしたが、現代では人はあふれていますから、人が住んでいない町など東京にはないでしょう。

 

インターネットの発達によって、現在はグーグルマップのストリートビューという機能を利用すれば、何度でもその地点の画像を四方八方から観察できますが、昭和の終わり頃にはヘリコプターをチャーターして上空から写真を撮るという、今では考えられない手段を使っていました。ヘリを三十分くらいチャーターした際、約25万円を支払った記憶があります。

 

当時の売上高は、その法人単体で100億円に達していたので福岡では大きな会社です。そのころはまだ大手の不動産管理法人が仲介業もしていませんでしたし、賃貸業などにも当然進出してはいませんでした。なにしろ、地図情報会社として有名なゼンリンも《善隣》という名称だった時代で地価公示価格もなく、相場はほとんどいい加減であったので、相場は不動産業者が適当に口にしていたように思います。

 

この法人が、ほかの不動産業者と違っていたのは地価表示価格を表示する半年単位の「地価相場単行本」を発行している法人の代表者と地価を形成していたことです。地価を示すこの単行本は福岡市では不動産業者のバイブルでした。そしてわが社は、次々に大きな通りに面した誰もが欲しがる土地を購入していくのですが、この営業の展開方法が斬新でした。

 

まだ世間で地上げという言葉ができる以前、この代表者は主要な通りに面した優良な土地を次々に購入しては先程の地価本を使って価格の調整をしました。不動産業がこちらサイドでできるため、これほど面白かった時代はないし、この方法で利益を出していたのはこの法人だけでした。当時、空からどの辺が空地で発展性があるかなどと見ている不動産屋は日本広しといえども存在していなかったでしょう。

隣の建物を見れば概ね判断できる「現地調査」

現在は、その土地に何を建ててどのような価格設定をすれば一般顧客が購入できるかという最終計算に基づいた土地購入段階の計算方法をしっかり取るので土地の価格が暴騰することはありません。暴騰しても売却できないので最終的には下がるということです。この計算ができない時代がバブルを生みました。価格優先ではなく利益優先で意味もなく価格だけが高騰していったということです。

 

リーマンショックの発端となったサブプライムローンの如しです。明日は価格が上がるだろうから金を使えですから、アメリカ人も日本人も同じようなものでしょう。

 

さて、現場調査ですが、購入物件(土地)の上に、どれほどのものが建つのかは周りを見れば大体のことがわかります。高さ制限や許容容積率は周辺と一緒と思えばよいでしょう。用途地域という制限がかかっているのですがブロック内でそれが違っていることはほとんどありません。ですから、隣の建物を見ればこの程度の高さまでは建つと判断できます。

 

現地に行ったら、第一に土地の敷地四隅には金属の小さな板が張り付けてあるか、またはセメントの小さな柱が植え付けられているかを探します。なければ、引き渡しまでに測量士に測量してもらうのが普通です。この場合、隣地の所有者にも立ち会ってもらうことは当然です。

 

自分の土地と隣地所有者の土地との境を決める作業ですので、一人で勝手にここだというわけにはいかないわけです。さらに言うと公道という町や県、国が所有している道路に面している必要があり、この接触幅にも制限があるので制限より少なければ建物の建築ができないこともあるので2メートルをクリアする土地であることを確認してください。

 

しかも、その接する道路の幅は4メートル以上の幅がないと許可された建物を建てることはできないのです。道路の幅が広ければ広いほどその土地の価値は上がります。

本連載は、2016年7月9日刊行の書籍『なりたい人だけが資産家になれる―やれば儲かる不動産の取得と売却方法教えます』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なりたい人だけが資産家になれる―やれば儲かる不動産の取得と売却方法教えます

なりたい人だけが資産家になれる―やれば儲かる不動産の取得と売却方法教えます

岡村 恭資

風詠社

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